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絹ちゃんはいつ浮気をした?

大ヒットした映画「花束みたいな恋をした」では、多くのファンが思索を巡らせていることがある。
それは有村架純が演じる絹ちゃんは浮気をしたかどうかという事。

劇中の終盤に麦くん(菅田将暉)と会話する中で、絹ちゃんが浮気をしたと匂わせる発言がある。
直接「した」とは断言せず曖昧な答え方をすることで、視聴者の間で浮気をしたのかしていないのかの論争が勃発した。

敢えて結論から言うなら、私は彼女が浮気をしたと考える。では“いつ”なのかを挙げていこう。
(但しこの考察は映画単体のものとし、小説版については無視する)

先に書いておくと、多くの人が考察しているさわやかのハンバーグに行った時ではないと私は踏んでいる。確かに麦くんを差し置いて友人と行ったというのは非常に怪しいが、根拠が弱いように感じたからだ。

さて、前提として麦くんと絹ちゃんが交際するに当たって見えてくるのは、2人の関係の変化と共に趣味嗜好の変遷があるということだ。新しく得た趣味もあれば、自然と薄れてしまった趣味もある。そこに着目した。

かつて絹ちゃんは「ラーメン屋を巡り、レビューを書く」という趣味があった。しかし麦くんとの交際が始まることで、ラーメン屋に行くという行為自体が薄れて(描写が無くなって)しまった。
その後絹ちゃんにラーメンという接点が再び訪れるのは物語の後半、ベンチャー社長役のオダギリジョーがパーティの後に「ラーメンを食べに行こう」と誘うシーンだけ。

ここだ!絹ちゃんが浮気をしたのは社長にラーメンを誘われた時だ。
膝枕をしてもらったから?彼とのLINEに麦くんへの負い目を感じたから?それも要因だが、大きな理由があると確信している。

前述した通り絹ちゃんのかつての趣味はラーメン巡り。つまり麦くんとの交際はラーメンを食べてない期間と捉えることができる。
そんな中ラーメンを食べるということは?それは一時的に麦くんとの交際する以前の状態に戻ったということに他ならない。彼女はラーメンを食べることで(乱暴な言い方をすれば)麦くんを消したのである。

ちなみにロケ地のラーメン屋は渋谷の「麺の坊・砦」という店。博多豚骨ラーメンの店で、お忍びで芸能人が訪れる程の人気店だそう。

一応原作の小説では浮気をしていない(匂わせてはいる)のだが、映画と小説(漫画など別バージョンの作品)では部分的に内容のアレンジがなされるのも事実。登場人物の機微に敢えて空白を見せることで含みを持たせる演出は、視聴者に想像を与える効果もある。

敢えて残された謎に思索を巡らせるのも映画の楽しみの1つ。この映画は本編を観た後にも深い余韻を残す作品だった。

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