【中国語講座】脱炭素
2020年、総理大臣が変わった時、新首相菅義偉氏が所信表明演説でとても重要な宣言をしましたね。「経済と環境の好循環」ということで、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、ということを宣言したのでした。
ということは、今後30年ほどの間に色々な変化がありそうな気がします。ちょっと環境関連の勉強でもしておきましょうか。
まず、菅さんの宣言に出てきた「温室効果ガス」、中国語では?
温室气体
wēnshì qìtĭ
以前は“温室效应气体wēnshì xiàoyìng qìtĭ”と言っていたように思うのですが、最近は“温室气体”と言っているように思います。簡単で覚えやすいです(笑)。
では、地球温暖化は?
全球气候变暖
quánqiú qìhòu biànnuăn
だいたい中国語に訳すと日本語より短くなることが多いのですが、これは逆に中国語の方が長いですね。
さて、菅さんの演説にも出てきた「脱炭素社会」は中国語では?
脱碳社会
tuōtàn shèhuì
日本語だと「炭素」とか「酸素」とか「水素」とか、「素」という字がついている物質がありますが、中国語では基本的には1文字だけということが多いですね。
では、やはり菅さんの演説に出てきた「カーボンニュートラル」は?
碳中和
tàn zhōnghé
そもそも「カーボンニュートラル」の意味が分かりにくいですね。日本語ってすぐ外来語をそのまま受け入れちゃいますから、どういう意味か分かりにくくなってしまいますよねぇ。
「カーボンニュートラル」というのは、温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量と吸収量を同じにして、実質的に二酸化炭素の排出量を「プラスマイナスゼロ」にする、ということです。つまり、「排出」を「吸収」で「中和」する、ということなのですね。
菅さんの演説にも出てきた「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」は、まぁ要するにカーボンニュートラルのことなのですが、中国語ではこんなふうに言われているようです。
温室气体净零排放
wēnshì qìtĭ jìng líng páifàng
この“净”、たった1文字なのですが、なかなかいい仕事をしています(笑)。これが「全体として」とか「実質」という意味になるのですね。この“净”は「正味」「実質の」などの意味があります。「純利益」のことを“净利jìnglì”と言いますが、この使い方ですね。
これなしに“零排放”と言ってしまうと、本当に温室効果ガスを排出しないことになってしまいます。それはとても難しいことですよね?
環境関連用語と一緒に、この“净”の意味も覚えておくといいかもしれませんね~。漢字って奥が深いです。
中国語は意外と色々な記号を文章中に使うので、きちんとした文章を書く場合はちょっと気を付けなければなりません。興味のある人は中国の公式のルールブックがありますので見てみてください。
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