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【中国語講座】数字の使い方

先日中国語検定4級の対策のための例題を作る必要があり、こんな文を作りました。

孩子能走几步了
Háizi néng zŏu jĭ bù le.
子供が何歩か歩けるようになった。

この“”は、「何歩?」と尋ねているわけではなく、「何歩か」という不定用法です。でも4級では不定用法があまりたくさん出てこないようなので、別の言い方にしようと思って、「2~3歩」という感じにしてみました:

孩子能走两三步了
Háizi néng zŏu liăng sān bù le.
子供が2~3歩歩けるようになった。

まぁ大丈夫だろうと思って一応知り合いの中国人2人に見てもらったら、2人とも「なんか変」というのですよね。

何が変なのか、本人たちも最初はよく分からなかったようですが、話しているうちにだんだん分かってきたようで、1人が「全く歩けなかった子供がやっと歩けるようになったのだから、数字としては最低限の数字を使うべきなので、“两三步”ではなくて“一两步”というべきだろう」と言いました。
もう1人の中国人もそれに賛成していました。つまり:

孩子能走一两步了
Háizi néng zŏu yì liăng bù le.
(直訳)子供が1~2歩歩けるようになった。

これ、本当に不思議ですね。日本語だと「1~2歩」は違和感というほどのものは感じませんが、まぁ普通こういう場合は「2~3歩」というだろうと思いませんか?

こういうのは、文化によって違うのでしょうね。すごく面白い発見でした。

そういえば、日本語だと「1からやり直します」とか「もう一度1から勉強します」と言いますよね?
でも中国語だと、例えば:

从零开始重新学习日语
Cóng líng kāishĭ chóngxīn xuéxí Rìyŭ.
(直訳)ゼロからもう一度日本語を勉強する。

そう、1ではなく0なのですね。まぁ日本語でも「最初から」というのを強調するためにわざと「0から」というような言い方をすることもありますが、本来的な日本語の言い方では「1から」というのではないでしょうか。

こういうのは中国語によく接していないと分からないですね。辞書や文法書には書いていないことが多いと思いますので、日本語の文化に引きずられないよう、気を引き締めていきたいと、改めて思いました。

通訳・翻訳家 伊藤 祥雄
大阪外国語大学外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院文学研究科 博士前期課程修了。通訳・翻訳業に加え、明治大学、東洋大学等の中国語講師を務める。NHK国際放送の中国語ネットニュース番組元キャスター。
著書に『すぐに役立つ中国語の基本単語集』(ナツメ社)をはじめ、『中国語検定対策2級問題集』(白水社)などの中検対策書多数。NHKテレビ「中国語!ナビ」のテキストで「中国語お悩み相談室」好評連載中。