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トランプ、プーチン接近を警戒❓北朝鮮外務省が"北朝鮮兵ロシア派遣"非難に反論〜ホンネでは妥協のカードにされたくなくてロシアを牽制か


【画像① 米英政府筋(国防総省やシンクタンクなど)の発表によれば、ロシアに対して北朝鮮軍は特殊部隊を中心に将兵1万1〜2千名程度を派遣しているとされ、北朝鮮側はこれを否定していない。】


今回は12月19日付で配信された朝鮮総連ニュースに北朝鮮外務省の「朝ロ協力」に関する報道官談話が掲載されたので、冒頭に解説を付してお届けする。


◆取り引き材料にされることへの恐怖


ウクライナ戦争を契機としたロシア、北朝鮮の安全保障上の関係強化の中で、北朝鮮兵士のロシア派遣及びミサイル、弾薬供給が西側諸国の中で非難が広がっている。本noteでも既報したが、北朝鮮製近距離戦術ミサイル「火星23」などがまとまった数でウクライナ側への攻撃にまとめて使用された他、ウクライナ軍が反撃侵攻したロシア領内クルスク州などで「北朝鮮兵士が実戦に参加している」などの情報がウクライナ並びに米英政府筋から盛んに流されている。


「インテリジェンス・ウェポン」では、クルスク州での北朝鮮兵実戦投入の情報は把握していないが、北朝鮮からまとまった数の兵士がロシア連邦軍やドンバスの義勇軍に編入され、一部が東部ウクライナで実戦投入された情報をロシア軍筋からは入手している。「ウクライナ軍は事実上、米英の指揮下にありNATO派遣要員も実戦参加しているのだから、いまさら西側が非難するのもおかしいだろう」というのが、ロシア側のホンネのようだ。


いずれにしろ、戦争の拡大につながるものだから、望ましいものじゃない。そして、一方で弾薬供給と兵士派遣で思いがけない巨額の外貨収入を得た上にエネルギー資源や食糧を安価でロシアから供給されることになった北朝鮮は「ウクライナ戦争さまさま」という状況だ。


しかし、ここに来て「ウクライナ支援をやめる」「戦争を直ちに終わらせる」と宣言するドナルド・トランプ氏が来年から米大統領に返り咲くことになり、北にとってまたしても情勢が大きく変わりかねない事態が生まれ始めた。いまのところ、プーチン政権は「停戦交渉を拒否しない」としつつも、現ウクライナ政権が日に日に基盤を瓦解させつつある状況が止まることを良しとせず、シニカルに戦争継続の長期化をも視野に置いている。


長期戦になれば、北朝鮮にとっては軽い人命を弾薬と共にカネに変え続け、独裁政権を維持しつつ従来の核・ミサイル開発路線を以前よりも順調に進めることが出来る。しかし、ロシアがトランプ政権からの何らかの働きかけを受け入れ、取り引きに応じれば、この道が閉ざされると共に「北朝鮮との軍事的協力関係」の成否(継続するか、停止するか)が米ロ間の取り引き材料にされかねない。少なくとも、こうした懸念材料を北朝鮮が抱えるようになったことは、緻密に情報を分析する冷静な観察者には容易に理解出来るところだ(戦争の判断に「正義」だの「合法性」だのを基準として絶対化する思考の人には、冷静な観察が出来ないというのは、我が国の多くの解説者たちのていたらくぶりを見れば明らかだ。それが"ウクライナ贔屓"、"親ロシア派"のいずれであろうと…)。

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