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”ほぼトラ”に賭けた? 総裁選最中に米共和党系シンクタンクから論文発表の石破茂首相、「アジア版NATO」「核共有」など対米自立指向強い論文のゴーストライターは元拓殖大教授


【画像① 首相就任記者会見における石破茂氏。総裁選までにとなえた「アジア版NATO構想」については、”封印”したが、中国はもちろん東南アジアの一部で反発を呼び、「ASEANにNATOは必要ない」(マレーシア・ハッサン外相)などの批判の声も上がっている。】





◆反響を呼ぶ米共和党系「ハドソン研究所」から発表の”石破茂論文”




石破茂首相が総裁選中、米共和党系「ハドソン研究所」から論文を発表したことがいまだに反響を広げている。メインのテーマは「アジア版NATO(北大西洋条約機構)の創設が不可欠」というもの。タイトル自体は「日本の外交政策の将来」というもので、9月27日、奇しくも自民党総裁選の投開票日そのものにハドソン研究所のホームページで掲載されるところとなった(掲載ページ:
https://www.hudson.org/politics-government/shigeru-ishiba-japans-new-security-era-future-japans-foreign-policy




内容的には、中国や北朝鮮、ロシアがリンケージして日本や韓国、台湾などに対する圧力を強める中、これらに対する抑止力を確保するため、アジア版NATOを創設しその枠内で「核の持ち込みや共有」を検討すべきだとするもの。また、日本の自立性、日米間の対等な立場に関して問題となる日米地位協定の改定問題にもふれている。ハドソン研究所は、ホームページ掲載が9月27日になったこともあって、石破氏を「次期首相」と紹介し形の上では国際的に日本の首相が就任にあたって安保外交政策での基本戦略を披瀝したような印象を強く持たせるものとなってしまった。


もちろん、こちらも大統領選挙の最中とはいえ民主党バイデン政権としては「次期首相」がこれまで日米で進めてきた方向性の見直しにもつながる安保外交政策を、よりによって共和党系シンクタンクから発表したことについて、おだやかでいられる訳がない。政府関係者は、こう述べている。


「これはもう喧嘩を売ったようなものだ。日米地位協定改定などは、歴史を重ねた微妙な性質をはらむ問題で、唐突に一方の側から言及すべきものでもない。バイデン政権側としては、石破氏が今回のような論文を共和党系シンクタンクから敢えて発表したのは、大統領選も日本に対する自立性を求めるトランプ氏が返り咲くことを予想してのことではないかと、受け取らざるを得ない」


【画像② 中国軍は台湾周辺”包囲”演習を強行するなど、力による現状変更を前提とした「台湾統一」路線を誇示し、日本の尖閣諸島周辺での活動も強めている。】





◆”火消し”に躍起な日本政府




日本政府側は、石破論文が広げる波紋にあわて、”火消し”に躍起だ。外務省関係者は、次のような説明を日本駐在の外交官などにしているという。


「あの論文は石破氏のブレーンである元大学教授が執筆したもので、総裁選最中だったため石破氏の名前での発表については報告を受けていたようだが、その内容にはほとんど関与していない」


…およそ通用しない”言い訳”だ。

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