10年半勤めたNRIを退職しました
note初投稿です。満を持して退職エントリを書く日がきました。
周りからは「あんどぅが転職って意外!」と言われる程度に、仕事をエンジョイしていて、人生安定志向と思われていたようです。
2011年4月に新卒で入社した野村総合研究所(NRI)を2021年9月末を以て退職しました。関係者の皆様には10年半の間、本当にお世話になりました。
私の人生の中で中学・高校・大学よりも長く在籍し、本当にとても恵まれた環境で仕事をさせて頂いたので、人生の振り返りに感謝の気持ちをまとめておきたいと思います。
(ここから書き言葉)
NRIに入社を決めたときのこと
入社前の筆者のスペックは以下。
・ 関西の私立大学文系卒
・IT関係のアルバイトや、Webサイトを立ち上げてスモールビジネスを経験
大学で就活をしていた時はまだガラケーを使っていた。iPhone 3GSを持っていたのは意識の高いごく一部で、就活が終わった後にiPhone4を買ったのがはじめてのスマホだ。当然LINEなどというものはなく、サークルや友人同士の連絡はメーリングリストやmixiで行われていた。そんな時代でも年々ITのサービスで世の中が便利で面白くなっている実感はあり、自分もなにかITのサービスを作ることに関わりたいと思い、IT系の会社を中心に就職活動をしていた。(周りは金融・メーカー志望が多かった)
文系出身でも歓迎されるというSIerの中で、大手や年収が高い会社の説明会から順に申し込んで、業界の理解を深めていった。SEは顧客対応力とITスキルが両方身につけられる職業とのことで自分の趣向に合っていそうだと思い、SIer業界に絞って就活した。NRIはSIerの中でもダントツに年収が高いことで有名で、キラキラしたコンサルファームとしての機能も持っており、「早慶以外の私立じゃ無理めかな?」と思いながら記念受験と思ってエントリーした。
志望度が一気に上がったタイミングは一次面接の面接官と話してからだ。なんというかこうシュッとしていた。説明が上手く、学生の話を丁寧に聞き、受け答えに知性を感じ、人事部の採用担当なのにビジネスや技術にも詳しい。他社SIerの面接も受けていたが、スペックや人間的魅力が段違いで、なんとかこんな優秀な先輩がいる会社で働いて成長したいと憧れたことが記憶に残っている。
そんな熱意が面接で伝わったのか、文系なのに趣味でアプリを作る学生が珍しかったのか、テクニカルエンジニア※として内定した。最終面接は丸の内で、帰り道東京駅に向かう間に他社からいただいていた内定すべてにお断りの電話を入れていた。
※インフラやR&DなどIT技術に軸足を置くSE採用
NRIでやった仕事①インフラエンジニア時代
入社して配属されたのは小売業のミッションクリティカルなシステムでインフラを担当する部署だった。半年ほど研修を受け、ある程度ITスキルの基礎を身に着けた後で主にLinuxサーバのメンテナンスや、社内チームとの作業調整を担当した。
システムが大きいと、サーバの設定変更一つでも他チームの作業やスケジュールと調整する必要があり、技術的に手を動かしている時間とコミュニケーションや資料作成している時間は4:6くらいだったように思う。
1年目~6年目までインフラエンジニアをやっていたが、最初はLinuxの設定変更レベルの作業調整から始まり、システム開発のために新規にサーバ構築・テストを推進することを覚え、最後はアーキテクチャ更改プロジェクトのチームリーダーを担当し10名程度のマネジメント経験もさせてもらった。
ここで身につけたサーバやネットワークの知識と、大規模なシステムに対する非機能要求をクリアするためのセキュリティ対策やBCPや障害時運用の経験が、今の自分の足腰になっている。
NRIでやった仕事②DXなんでもエンジニア時代
インフラエンジニア時代は、インフラの技術と社内のプロジェクト推進を経験したものの、顧客と直接話をして、ビジネスのお手伝いをしたりアプリを開発することにも興味があった。ちょうど顧客のデジタルビジネスを支援する戦略子会社への出向の公募があったため、立ち上げから間もないタイミングで参画した。
SIerのビジネスの屋台骨が基幹システムなどのSoRだとすると、ECサイトやインターネット上の会員サービスなどはSoEと言われており、そういったデジタルビジネスは顧客企業の情報システム部ではなくマーケティング部や事業企画部といった事業部門が関わっていた。立ち上げ当初は案件が少なかったため、金融・メーカーなど多くの企業の顧客のもとに営業に行き、ソリューションや事例紹介からPoCの企画・提案を行う活動をしていた。もちろん、そんなことを社内に引きこもっていたインフラエンジニアがいきなりできるわけもなく、コンサル出身の上司や先輩、アプリケーションエンジニアの同僚とチームを組んでプレゼン資料を作って訪問していた。
いくつか仕込んだ案件が始まると、フルスタックエンジニアとしてアプリ開発からクラウド上のインフラ構築までなんでもやっていた。新規事業や既存業務をデジタル化するPoCの場合、事業仮説や新業務フローはPDCAサイクルを回すたびに頻繁に変わるので、顧客との対話と開発のスピード感が常に求められるエキサイティングな仕事だった。短時間でビジネスの目的をシステムに実装するために、アプリ~インフラの各レイヤーでのトラブルシューティングやエラーメッセージの切り分けで時間をとられることが少なかったのはインフラエンジニアとして鍛えた足腰の賜物だった。インフラレイヤーの自信があるからこそ、Reactなど初めての技術に挑戦することも怯えずに、より多くの仕事に取り組むことができたと思う。
規模の小さい案件をたくさん回すうちに、クラウドのマネージドサービスを上手く使いこなせば自分で実装する部分を減らして効率よく仕事ができることに気がつき、少しずつ知見を貯めながらAWSを勉強して詳しくなった。そのことでどのようにビジネスの役に立てるかを社内の勉強会で発表などしていると、少しずつプレゼンスが上がっていき労働集約的ではないナレッジを活かせる仕事で声がかかるようになった。
最終的にはAWSのアワードをもらったり、社内でも現場のソリューションアーキテクトとして若手の研修や講話に呼ばれたりする立場になった。最後の仕事はシステムコンサルタントとして純粋なコンサルティングプロジェクトにチームリーダーとして参画し、ファシリテーションとプレゼンテーションによってビジネス上の意思決定を支援することもできた。ビジネスの現場での顧客対応と技術支援のどちらも会社として恥ずかしくないレベルでできるようになるまで成長でき、子会社出向はとても良い経験だった。
NRIの素晴らしいところ
NRIの素晴らしいところを上げるとキリがないが、プロフェッショナルとして成長するために十分な働く環境、研修制度、経済的処遇が揃っている。
・外資にも負けない給料の高さ
多くのサイトで言及されている通り。不満を言っている人を見たことがない
・最強レベルの福利厚生
持株の奨励金制度、DCの積立て、手厚すぎる退職金、リフレッシュ休暇
・社員が優秀で、とてもよく働く
プロ意識が高く、立場の違いからコンフリクトすることはあっても、頭の回転が早くて話が通じないことがほとんどない。そしてよく働く
・研修制度がとても充実している
海外留学、トレーニー、カンファレンス出張、社内研修、資格取得補助など
若手のうちは優秀な先輩の背中を見て育ちながら手厚く面倒を見てもらえ、自立して仕事できるようになったら裁量労働の自由を使って自分の時間を作り好きな研修に参加するなど自己研鑽もできる。
なぜ辞めるのか
ここまでポジテイブなことを書いておいて、なぜ辞めるのか?というと、会社に原因はなく、仕事内容や待遇、評価に全く不満はない。
わりと仕事を楽しめる方なので、「転職のある人生か?転職しない人生か?」で考えた時に、人生で1社の仕事しか経験できないのは他の楽しい経験に出会う機会を逸するようで勿体ないと思ったので、いずれにしてもタイミングと興味の持てる会社は探していた。
タイミングでいうと10年半という年次は、会社ではプロとして仕事で安定した成果を出し続けることが期待され、自分が得意な専門領域中心で勝負することになり、そうすると毎回仕事内容ががらりと変わるような挑戦はしづらくなる。自分の場合も何かしら得意分野を絡めた仕事が多くなり、成長速度が少しずつ鈍化するのを感じていた。
前々から事業会社の経験をしたいと思っていた中で、ミッションやバリューに共感できる会社に出会えたことも大きい。これまでは顧客のビジネスを支援する立場でずっと仕事してきたので、立場を変えてエンジニアとして事業にコミットする挑戦は面白い経験になるのではないかと、今は期待している。
最後に
長々と書きましたが、皆さんが一番知りたいと思われる退職理由としては「自己実現」が一番であり、NRIに対してネガティブな要素は全くありません。なので「優秀な人達と働き、成長したい」「高い報酬と手厚い福利厚生を享受したい」「デジタルで顧客のビジネスの課題を解決したい」人にはNRIを強く推薦したいです。私が文系未経験からビジネスパーソンとしてもエンジニアとしてもそれなりに仕事できるようになったのは間違いなくNRIに育てていただたいたおかげです。
転職先のことはここでは触れませんが、このエントリの反響があれば入社後所感などを書くかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。なにか気になることがあれば、1on1で直接お話しすることもできますので、MeetyかDMでご連絡ください。
どこかでお会いすることがありましたらよろしくお願いします。
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