7/28(火)・8/7(金)開催「コロナ禍で生活者の意識はどう変わり、企業はどう対応すべきか?」セミナーレポート(後編)
こんにちは。戦略コンサルティング部の北島です。
前回に引き続き、「withコロナ時代の生活者心理~ポジティブな「再評価」を勝ち取れる業種とは?~」のレポートをお伝えします。
今回の後編では、コロナによって変化した生活者意識に企業がどのように対応していくべきかについて、報告していきます。
意識変化のドライバーを見いだすことが企業のトランスフォーメーションの嚆矢に
コロナ禍がもたらした生活者の意識・態度の変容は、消費行動にどのような影響を与えているのでしょうか。調査結果報告に続き、インテグレート 戦略コンサルティング部の金子岳史が、変革期における事業変革に向けた提言をおこないました。
金子は「コロナ渦中の状況のように、社会の大変革期においては、企業は自社の社会的価値を改めて見直すとともに、生活者の態度変容につながるドライバを見出し、生活者起点の事業変革につなげることが必要です」と強調します。当面の事業継続のための対応策立案と実行といったショートターム施策だけでなく、中長期的な戦略とポジショニングの再定義がコロナ後の事業・経営の成否を分ける、というのです(→図表⑦)。
図表 ⑦態度変容ドライバーの抽出
金子によれば、新型コロナウイルス感染症の拡大によって生活者の意識が大きく変化した背景として、「自己肯定(感)」「自己目的化」「内省」という3つのドライバーの存在があると説明します。今回の調査結果を当てはめてみると、「自己肯定」は「(家事だけでなく)生活全般をポジティブにしたい、楽しくしたい」という生活欲求に、「自己目的化」は「もっと綺麗にしよう、(家事を)もっと手軽にしよう」という生活欲求に、そして「内省」は「いままでよりもっと・ちゃんとやろう、効率的にやろう」という生活欲求にそれぞれ結びついていると分析します(→図表⑧)
図表 ⑧各ドライバーにひもづく生活欲求
こうした生活欲求に対して、人びとは様々な商品やサービスを購入/利用することによって解決しようとします。この生活欲求を満たすための購買行動を起こす動機を「購買欲求」と呼びますが、このコロナ禍中にあって、いち早く生活欲求にフィットさせた新サービス・新業態を打ち出している企業も存在します。金子はいくつかの業種・業界での実践事例を挙げ、解説しました。
再評価にさらされる企業価値、いかにしてトランスフォーメーションのきっかけをつかむか
しかしながら、多くの企業はこうした社会のディープインパクトに対して、何を指針にしてどのように対応すべきか、壁に直面していることも多いのではないでしょうか。金子は「我々が向けるべき視点は『再評価』です」と述べます。
生活者は、パンデミックの制約下での行動を通じて、好む好まざるとに関わらず、「この商品/サービスは本当に必要だったのか」「私たちに何を提供していたのか」「私たちを幸せにしていたのか」と、再評価を迫られました。
コロナ後の大きな変化として、旅行や外食といった「機会の喪失」や、オンライン飲み会やデリバリーといった「手段の変化」がありますが、こうした生活者が生活欲求を解決するための手段として、あらゆる商品/サービスを再評価しているというのが、今のステータスであり、企業はこの再評価を正確に見極めることが必要なのです」(金子)(→図表⑨・⑩)。
図表 ⑨企業が作りだす価値は生活者の再評価にさらされている
図表 ⑩企業は再評価の内実を把握することを迫られている
ただし、生活者による再評価の度合いは、業種やジャンルによって大きく異なります。前出の例のように、旅行や外食のように当面顧客との接点そのものが失われることになってしまった業種もありましたし、スーパーやGMSのようにむしろインフラ産業として生活に不可欠な存在としての地位を固めた業種もあります(→図表⑪・⑫)。
図表 ⑪インダストリーによって再評価の内容は大きく異なる
図表 ⑫変化に対応して新たな価値を創出できたインダストリーも存在
金子は「したがって、生活者における自社価値の再評価を正確に見極めるには、生活者起点のインサイト発掘を踏まえた自社のミッション・パーパスの再定義、さらにそれを踏まえた商品/サービス設計に向けた事業設計が不可欠になるのです」と強調しました(→図表⑬)。
図表 ⑬エリア4でのビジネス転換の考え方(イメージ)
最後に金子は「今回のセミナーでご紹介したように、イード社は再評価の基点を探るための生活者インサイト調査に、インテグレートは戦略構築やリブランディングといった事業支援・コンサルティングのノウハウや実績を豊富に持つので、企業の悩み解決の一助になれるものと考えています。この機会にお気軽にご相談いただければ」と述べ、セミナーを締めくくりました。
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