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お客様は料理を食べてるんじゃない!情報を食べてるんだ!...とオススメ日本酒3選

テレビでタレントさんが有名店の料理を食べて一言。
身振り手振りと最上級の表現で褒める。

それを観て、美味しそ~!
って思ったことありますか?

観ている人に、 わ~美味しそう食べてみたい。って思わせることができるのは、特別な技術のある人、一握りの人だと思います。

私は、それを仕事でやらなきゃいけない、ということに陥ったのでありました。

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私は、某チェーン店店長から転職し、コース料理を出すレストランの接客担当になりました。

さらにそのお店はコース料理に日本酒をペアリングするのを売りにしていました。

私は当初コースの料理の提供などしたこともなく、日本酒を飲んだこともありませんでした。

お酒は好きで飲んでいましたが、 ほとんどビールやワイン。しかもスーパーで買える安いやつね。日本酒は家族の中では父が飲んでいたのですが、
独特の匂い。
悪酔いする父。
というイメージで、あんまり良い印象はありませんでした。

そのお店で凄かったのは、私に日本酒を教えてくれた師匠。
師匠は下戸でした。
でも一口飲んだだけで、日本酒の味わいをワインのソムリエのように表現する天才でした。
(3口以上飲むと酔っぱらってました)

師匠に教えてもらったのはこういった分類。

日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)作成

そして、分類につながる表現。

香り高い→口に含むと鼻の奥に香りが広がり…
さわやか→すっきりとした飲み口は後を引かず何杯でも口に運べてしまう

などなど、味わいの表現をする語彙というものをまず知識として覚えていき、矢印の先の表現をどんどん増やしていきました。

こういった分類のマトリックスもあれば、香りや味を他の食べ物で分類する「フレーバーホイール」ってのもあります。

日本酒だけではなくてもちろんワインやコーヒーにもあるし、この記事を書くために探していたら、 お醤油なんてものもありました。

コーヒーの"フレーバーホイール"
参照元はこちらから
キッコーマンが作ったお醤油のフレーバーホイール

最初はこうやって知識を得て、実際にお店にある日本酒を飲んで、
自分が感じた感じを、まずは言葉にしてみました。

やっぱりお客様も、日本酒をあまり飲まれたことが無い方が大半。

そんな方々に日本酒を紹介すると、初めのうちはやっぱり反応は良くない。イメージが親父が飲む酒なんでしょうね。でも試しにっていう形で実際に日本酒1杯でも飲んでもらえば、日本酒ってこんなに美味しいんだ!というのを実感してもらうことができました。

私もびっくりしたんですが、お店にある日本酒、
飲む酒飲む酒すべてがうまい!

ステレオタイプな日本酒の味わい、ではない。

とても豊かな味わいの方向性が、一本一本に備わっていて、
その土地
その蔵
その銘柄によって味わいの違いがある。

そして、一口目の味わいと、飲み進めていった後の味わいがまた違う。
そして日本酒の面白いところは温度を変えると、 味わいがまた変化する。 というとこです。

初めて"神亀"の純米酒の燗を飲んだ時には、日本酒の燗ってこんなに美味しいんだ!

て目からウロコでした。
父が飲んでたあれはなんだったんだ??

そんなこんなで、自分も日本酒は大好きになって、こんなに美味しいんですよ!っていう自分の好きな情熱をお客様に説明すると、お客様も飲んで好きになってくれる。

そしてまた美味しい日本酒を探し出して紹介する。
酒好きにはたまらない仕事でした。

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そのレストランは、日本酒だけ料理だけその商品だけを提供するのではなくて、情報を一緒に提供してます。

師匠から教えてもらった1番は、まず飲む前の説明で疑似体験させる。
ここで「美味しそう」と思ってもらえたら、もう美味しいんだ。

例えばラーメン屋さんになぜあんなに行列ができるのか。
いろんな都市地方にあるラーメン屋さんをめぐるマニアはいるのはなぜなのか。

牛肉がなぜこんなに流行るのか。
部位によっての味や柔らかさの違いや、銘柄牛の味わいの違いって本当にそんなにあるんだろうか。

それにはそのお店やお酒、商品の物語、情報がついているからで、
それを知らないで食べるのと知って食べるのでは味わいが違う。
そしてお客様の熱量が変わってきます。

お肉に詳しく好きなお客様と、それほど詳しくないお客様に、
シャトーブリアンをオススメしたら、どちらが買ってくれるか?は一目瞭然。
時には、詳しい人を見極めてそういう人だけにオススメしにいく。
時には、詳しくない人にも情報を提供することによって買ってもらう。

レストランにいる人の接客は、その情報も一緒に運ぶんだ。

というのを教えてもらいました。

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最後に、

年末年始も近いことですし。

今まで日本酒を飲んだことがない方も、日本酒に超詳しくて新政ばっかり飲んでる方も、よかったらこの日本酒をお正月用に試してみませんか?

という私からの個人的好みのオススメ3選をご紹介します。

惣譽酒造 生酛仕込み純米大吟醸

栃木県の惣誉(そうほまれ)酒造

中でも推したいのが、『生酛仕込み純米大吟醸』

右から2番目のやつね

大吟醸ながら、贅沢にもちょっとぬる燗にしていただく。
くぅ~!!

あ、いやいやしかし、惣誉さんは地元に愛されるお酒で栃木の消費率が9割のダントツ日常酒なのです。
やさしい味わいで、毎日飲んでも飽きない。寄り添ってくれる安心感。
ですので、大吟醸じゃなくてもオススメ。でも生酛仕込みが個人的には好きなので、チャレンジしてくれる方はぜひ生酛を燗つけてね。

菊姫 山廃純米

石川県 菊姫合資会社

ここで推すのは、『菊姫 山廃純米』

生原酒もありますが、生じゃないほうがいいな。
これはホームページにも、"好き嫌いのはっきり分かれる"と書かれておりまして、初心者にはお勧めしません。
ただ、ステレオタイプのいわいる「淡麗辛口」な日本酒のイメージを、一発で覆せるので、興味のある方はぜひ。

ポイントは、一升瓶で買って、まず常温で一口、燗つけて一口。
そのまましばらくほっておいてください。

そうしたら、忘れたころに(半年後くらいかな)また、同じように飲んでみてください。きっと味わいが変わっています。
そうやって自分好みの味まできたら、もう一口とは言いません。思う存分飲んでくださいませ!!
(ぜんぜん今度の正月に飲めないね…再来年用?)

木戸泉 アフス

千葉県 木戸泉酒造

ここで推したいのは、『アフス』という日本酒なんですが、
手に入りにくいので、まずはこちらの情報を摂取してくださいませ。

私は幸運にも、そのレストラン勤務の際に蔵見学をさせていただきまして、古酒の試飲をさせてもらいました。
色味から琥珀色で、本当に日本酒とは思えない(褒め言葉です)。
ウイスキー?はちみつ?みりん?
そして酸っぱいんです!すっぱあまいんです。
日本酒の味わいにそんな表現使うか?!という味。
ぜひ、1度体験して欲しいけど、結構高い&手に入りにくい。
ので、アフス以外の銘柄からお試しください。

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最後は、私の偏愛がさく裂してしまいましたが、、、。

日本酒に限らず、食の世界は1ジャンルに足を踏み入れると、奥が深すぎる。沼とはよく言ったものです。
一生のうちに、自分で情報を収集して味わい尽くすには、人生は短すぎる。。。
詳しい人に情報を頂いて、その上で食べる食は、食べ物を摂取するだけではない、世界が広がります。

そんな世界を分け与えてくれるのも、レストランの醍醐味。


以上!!
燗でも飲もう!

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