3M Company が好きなのです
2025年1月12日、日曜日です。
日曜日って「明日月曜日だ~」ってちょっとユーウツですが、今週は3連休で明日お休みなので、ユーウツじゃなくて素晴らしい気分ですね😆!
さて、それで。
企画「#推したい会社」が目に止まったので。
せっかくだから乗ってみようと思ったのですが。
国内外それぞれ200社以上に投資している私としては推したい会社の10個や20個は簡単にフトコロから転がし出せちゃうのでどれにしようかと迷っちゃいます。
でもこの企画きっと毎年やるんですよね?
であれば、ここはやっぱり、私のクリエイター名「3S(スリーエス)」の素になった会社、スリーエムカンパニーを挙げておきましょうかね。
3M(スリーエム)、3M Company(スリーエムカンパニー)、Minnesota Mining and Manufacturing。
スリーエムの概要
アメリカ合衆国北部ミネソタ州の州都セントポールに本社を構え、科学の知識、特に化学の知識をベースに様々な製品を生み出してきた発明家企業です。
ポストイット(付箋)、セロハンテープを発明したことで有名。
つまり、いい感じの接着剤(簡単に剥がせる)を発明したところから製品化したのでしょうね。
他の製品も、研磨剤とか摩擦材(滑り止め)とか家の屋根に使う粒子材とか。いい感じの材料を作って、そこで終わらずその材料を使って何か製品(部品と言った方がいい?)を作っちゃう。ただの化学工業メーカーとかだと、材料(中間素材)作るところで終えちゃって「あとはそっちで加工して製品に仕上げてね」と渡してくるけど、スリーエムは自分たちで製品化もする、っていうところが上質。だからB2BだけでなくB2Cもできる。一般の人の目に触れる(認知される)って、だいじですもんね。
もっとも、ダウ工業平均30社を構成する超優良企業の1つなので、認知度は抜群。恥ずかしながら、私がスリーエムを知ったのは投資家として。ポストイット(付箋)とかセロハンテープはもちろん知っていたけれど、スリーエムが発明したことも、買ってきたポストイットのパッケージに「スリーエムジャパン」と印刷してあることも、後から(スリーエムに投資実行した後に)知りました😅。
何の会社なの?ひと言では説明できません!
歴史もある大企業なのに、製品を見てみると、特定のニッチ領域でものすごく高い技術力を持った中小企業(町工場)の連合体みたいな印象も受ける、ちょっと不思議な会社。
電子部品作っていたり、フィルム作っていたり、テープ作っていたり、スピンオフして今はスリーエム傘下にはないけれど医療用のテープや包帯や聴診器作っていたりと、「スリーエムは〇〇の会社である!」みたいなひと言では説明しづらいです。四季報なんかでは、コングロマリット(複合企業体)、と書いてありますけれども。
こういう他となんか違う会社というのは、証券会社提供の銘柄スクリーニングで比較しづらいので、パっと手軽に分析するにはあまり向きません(経営数字の分析だけで簡単に比較できちゃうのは銀行業とか不動産業とかですね)!
会社四季報的にはハネウェル・インターナショナルやイリノイ・ツール・ワークスと同業らしいですが、ほんとなのかね?と思っちゃいますよ。
そういうオンリーワン的なところがまた魅力なのですが😆。
ヘルスケア部門を切り離して身軽になりました
昨年3月末(2024年3月末)にヘルスケア部門を Solventum Corporation としてスピンオフしました。その結果、売上規模は4分の3くらいに縮んで年間で240億ドル(1ドル=150円換算で3兆8,400億円)ほどに。
売上高はキヤノンに抜かれました😥。
スピンオフ後には配当金も半額以下になってしまい(且つ分離されたSolventumは「2年間は無配当じゃ!」と宣言しているので)、あまりいいことないようにも思えたんですが、バランスシートをよくよく見ると、スリーエムが長期負債の約4割にあたる83億ドルをSolventumに押しつけて(🙀!)身軽になったように見えるのです。
まだ分離から1年経っていないのでこれが重荷を下ろしたのかカネの成る木を手放したのかを判断するには時期尚早ですが・・・Solventumと合わせて注意深く見守っていきましょうかね。
なおスピンオフに伴う諸々の詳細は以下の2つの記事で考察しています。
訴訟案件がつらい
さらに最近はPFAS(有機フッ素化合物)による水質汚染とか軍人用の耳栓とかの訴訟費用がかさんで利益を圧迫されていました。
2021年の初夏を天井に株価は3年近くダダ下がり😫。
そしてSolventumをスピンオフしたあたりから明確に株価が反転しているので、現段階でマーケットはスピンオフが良かったと判断しているようです。同じ時期にCEOも交代しているので、そっちの期待もあるかもしれませんけれども。
ただ、(私みたいな)配当狙いの長期投資家にとってはたいへん残念なことに、スピンオフの後、60年以上続いていた連続増配記録がストップしてしまいました😭。1株当たり年間6ドルを超えようとしていた配当はわずか2.8ドルに。
これは私の邪推ですけど、長期の連続増配記録を持ち且つ配当金は高いから、カネに汚い奴に目ぇつけられたんだと思います。アメリカという国はちょっと信じられない理由でとんでもない金額の訴訟を起こしますから🙀。
いま絶好調のエヌビディアもあんまり儲け過ぎると目ぇつけられて訴訟を吹っ掛けられるかもしれません。Googleも司法省に目ぇつけられて会社分割を命令されましたが(拒否したみたいだけど)、これもきっと儲け過ぎたからでしょう。
付加価値の源泉
そんな、ちょっと逆風(訴訟案件)もあるけれど、訴訟費用を除けば20%を超える営業利益率を上げているスリーエム。自社で製造能力を持っている(つまり工場の管理コストがかかる)会社なので、この利益率はかなりGOOD!(日本企業がお金儲けがヘタという面はあるのですけど・・・)
この高い利益率の源泉は、
科学の知識をベースとした基礎研究力
研究成果を製品につなげる発想力と開発力
開発(試作)した製品を安定した生産につなげる製造能力
でしょう。特に2. の発想力がモノを言う。自由な発想力と開発力がある限り成長を続けられる可能性無限大な会社とも言えるし、いつ出てくるか分からない発想に頼るホームラン狙いのちょっと危なっかしい会社とも言える。
このホームラン狙いというのは昔々のソニーもそうですね。
トリニトロン(ブラウン管テレビ)、ウォークマン、ハンディカム(パスポートサイズのビデオカメラ)、CD、プレイステーション。10年に1度くらいとんでもないホームランをかっとばす。そのホームランが出なくなった2000年~2015年頃にソニーは深刻な苦境に陥りましたけど、スリーエムは(訴訟案件を除けば)ずいぶん長いこと危なげなく経営しているように見えます。1976年にダウ平均に採用されてからずーっとその地位を守り続けているのだから、半世紀近くも、USAを代表するわずか30の超優良企業だと太鼓判を押されているようなモノ。
このホームラン(あるいはヒット)を撃ち続ける土壌を育んでいるのが、有名な15%ルール。
従業員は、勤務時間の15%を自分の好きな研究開発に使うことができる。ただ、何をやってもいいわけではなくて、製品化につながる(と思う)技術の研究をする。それさえ満たせば自分の仕事とは無関係に研究テーマを設定できる。有望な研究テーマには予算もつけてもらえるみたいですね。
Googleもこのルールを真似して、こっちは20%ルールなるものを定めています😎。
そして私は3. の製造能力を持つ、という点も重視しています。
発明、開発、製造のすべての能力を持っていること。特にこの製造能力(試作品を作るだけでなく、安定した品質で同じ製品を大量に製造できる能力)を持っているというところが素晴らしいのです。
最近ブイブイ言わせているエヌビディア大先生もエクセレントカンパニーなのは間違いないのですが、エヌビディア大先生は残念なことに製造能力が皆無なのです。簡単に言うとソフトウェアの会社なのです。製造は全部外注。台湾のTSMCとかにお願いしている。それが悪いとは言わないですが、実際にモノが作られないと何の役にも立ちませんからね。絵に描いたモチ。そういう意味で、今アメリカ合衆国を牽引しているテック企業(アップル、マイクロソフト、エヌビディア、メタ、グーグル、AMD、アマゾンなど)で製造能力を持ってる会社はほとんどないので、何かあると(たとえば中国が台湾に侵攻してTSMCの最先端工場が全滅するとか)たいへん困ったことになります。
それに、テック企業の製品やサービスで便利になったのは確かですが(忙しない世の中になった、という負の側面もあると思うけどそれはそれとして)、便利で快適になった、とは言えないと思うのです。
「便利で快適」を実現したのは、20世紀から存在する企業。電気、ガス、水道などの生活インフラ、国土を縦横無尽に結ぶ鉄道網や道路網、衣料品や衛生用品などの清潔で安全な生活に必要な製品、そしてそれを作り出す生産設備。これらの構築、生産、運営に寄与した企業たち、だと思います。
つまりソフトウェアではなくて実体のあるモノ、ハードウェアが「便利で快適」を実現する富の源泉だと思っているのです。その実体のあるモノを安定的に高品質で生産できる能力を持っていることがとてもだいじであるという考えに基づいて株式投資をしているので、私の投資先にはIT企業はほとんどありません😎。
ちょっと、古い考えかもしれませんけどね。
まとめ
というわけで。
新たな価値を生み出す原動力となる発明の高い潜在能力を持ち、
それを製品化して自分で製造する能力を持ち、
これを通して世界に「便利で快適」という富をもたらしているスリーエムカンパニーを推してみました😆。
私のポートフォリオに占める比重も大きめですし!
10年後ぐらいには配当も株価も2~3倍になって、ブイブイ言わせててほしいです😆。
参考
1年以上前に書いた 3M Company の概要。ヘルスケア部門のスピンオフ前の記事なので、売上高は現在の1.3倍以上あるし、60年以上続く連続増配はまだ途切れていないしと、ちょっと情報が古いけど、だいじなポイント(3Mって素晴らしい😆!)は変わっていません。
3M Company のヘルスケア部門がスピンオフしてできた会社、 Solventum Corporation の概要はこちら。