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「せんしょのたんけん」からのインスピレーション
「スーパーすてきな本屋さん、SPBS(SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS)さんとコラボしたい!」
こんな想いから、富士通インスピラボ×SPBSで「せんしょのたんけん」を実施しました。今回はその体験をレポートします。
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あらためて、0次体験って?
インスピラボでは0(ゼロ)次情報を自ら体験し、未来のキザシやアイデアのヒントをつかむ、という活動を行っています。
定期的に社外のおもしろい活動家・企業さんと一緒にイベントを開催しています。
SPBSさんとコラボすることになったきっかけ
今回SPBSさんとコラボすることになったのは、富士通株式会社デザインセンターのインスピゆるメンバー(インスピラボとゆるやかに、一緒に活動するメンバー)である、池田さんの想いから。
あらためて、池田さんに背景を聞いてみました。
ーーー 池田さんがSPBSさんを知ったきっかけってどんなものだったのでしょうか?
池田: 知人を介して、SPBSの福井恵子さん(以下、恵子さん)に出会ったのがきっかけです。一度お会いしたら意気投合しちゃって(笑)。その時のことをまずはお話ししますね。
恵子さんは、バレエやアートにご関心があり、「バレエとかアートって日本では食べていくのが難しい。これってなんでだっけ?」といった問いから、最初は金融機関に勤めたられたと聞いてます。「お金の動きを知る必要がある!」ってことなのかなと。
恵子さんは徐々に、働きながらダンサーやアーティストを支援するような活動に軸足がうつり、留学のチャンスが巡ってきてアメリカに渡ったと聞いています。詳しくはこちら。
一方私は、現在デザイナーとして仕事をしていますが、元々はアーティストになりたくて美大に行きました。でも、アートだけで生活していくのはなかなか厳しいな、とも…。なので、すごく恵子さんの話に共感したんですよね。
ダンサーやアーティストのような豊かな活動をしている人たちが、日本でもっと食べていくことができたらいいのになと思いまして。
ーーー 恵子さんのやられていることへの強い共感からはじまったんですね。その後、今回の企画に至ったのはどういう経緯なのでしょうか?
池田: SPBSさんは「自分たちだけ儲けるのではなく、地域も盛り上げて全員が幸せになっていく」というスタンスを持たれています。それがすごくいいなと思っていました。
私たち富士通もそう思っていて、地球や宇宙を含めて幸せにしていこうとしています。けれど、これってとっても難しい。こうした道を歩むためのヒントがこの場で得られるのでは?と思い、企画しました。
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「せんしょのたんけん」って、どんなもの?
ーーー 「せんしょのたんけん」は具体的にどんな風に進んだのでしょうか?
池田: 最初に互いの自己紹介や全体説明があった後、3人1組のグループになりました。
そこで本日のテーマについてどんなイメージかを対話します。
その後、「自分たちが選書(※)コーナーを作るとしたらどんな本を選んで紹介するか」という仮定の中、実際にSPBSさんにある本をグループで選び、本のポップを書きます。
最後に、その内容を他のグループにも紹介していく…、そんな流れです。
※選書とは、「多くの著者の中から、ある目的に合わせて選出し、まとめた書物(大辞林)」のことを指します。
「せんしょのたんけん」では、そうした選書のおもしろさを、より楽しく柔らかく体験してもらいたいと思い、セッションタイトルを「せんしょ」というひらがなにしています。
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「めんどうなこと」が「楽しくなっちゃう」体験に
ーーー どのようなテーマで選書したのでしょうか?
池田: この日のテーマは「サステナブル」にしました。
やってみて思いましたが、「サステナブル」というテーマはどんぴしゃでしたね。
ふわっとしている言葉だし、どっから入っていいかわからないようなテーマが選書にはあってるんじゃないかな、と。
こういうテーマって結局、個人の内省から始めるしかないと思うんです。でもそれってめんどいですよね(笑)
やらなきゃいけないってわかってる、でもやれない、みたいな。
それが、すごく楽しくできちゃうし、気持ちがワクワクしてできちゃうのが「せんしょのたんけん」の魅力だなと思いました。
ーーー めんどうなことが選書を介すことで楽しくなっちゃうって、興味深いですね。「サステナブル」で選書してみて、どんな対話や気づきがありましたか?
池田: 「サステナブルな生き方ってなんだろうね?」という問いをもっている人が多かった印象です。
「ロジカルに無駄なく、タイパよく生きてく、いつもできない自分がいて、向上していく…」こういったスタイルがいつの間にかある気がするね…と。
ムリとか、ムダとか、ムラがあるのって「悪いこと」と思ってたけど、矛盾があっていいし、「ムリ・ムダ・ムラを楽しむぐらいでいいんじゃないか?」という気付きがありました。
ただその中で「ほどほどでがんばろ~」って話してしまって、結局がんばろうとしてしまう自分がいるなとも思って(笑)。
途中、違国日記という漫画を選書された方がいて、その中で「ほどほどがうまかったら、それは完璧でしょ?(=それって完璧にできてるってことで、ほどほどじゃないよねってことだと解釈)」という言葉があり、「そういう見方もあるのか…!」とうなりました。こうして、さまざまな解釈を交わらせていけることも、せんしょのたんけんのいいところかな、と。
自分を追い詰めすぎず、できない自分も受容しながら歩んでいけることが、サステナビリティにつながるんじゃない、そんな対話がなされました。
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自分事化しにくいテーマでも、選書をすると自分の考えを表す手助けになる
ーーー 他の参加者や、どんな声があったか教えてもらえますか?
池田: 定員15名で開催し、富士通グループ内で参加者を募集しました。参加してくださった方は年齢は20代~50代まで、職種もデザイナーやIT部門、AI研究者など、住んでいる地域も東京の人もいれば仙台の人もいるなど、バラバラでした。
みなさんそれぞれ振り返りを書いてくださったので、一部を抜粋して紹介しますね。
選書を体験し、そのプロセスが未来探索型のデザインリサーチに非常に似ている〜!!と感じました。まずはテーマについて自分の内側を観察し仮説をもつ、そして外に出ていって他の人の知識や解釈を知る、そしてまた自分の内側を観察する・・・
(SPBSの方が)「選書って無限ループなんですよ」、と説明してくれた言葉が印象に残っています。
最近いろんなプロジェクトでサステナブルというキーワードが出てきますが、中々規模が大きく自分ごと化するのが難しい…と思っていましたが、本というコンテンツを通すことでイチから考えるよりとっつきやすいかも!という発見がありました~
帰り道からずっと「あの本入れればよかったな……」など考え続けている、とても印象に残ったワークショップです。会社としても重視しているキーワードである「サステナブル」に対して、選書という行為を通じて自分の考えを表す手助けにもなりましたし、いろいろな方の考えに触れることもできました
本屋が持つ「場の力」は、人の行動も思考も変える
ーーー 企画時に「地球や宇宙を含めて幸せになるためのヒントが得られるのではと思った」とおっしゃっておられましたが、何か得られたヒントってありましたか?
池田: やっぱり本屋さんっていう場が特別ですね。空間からもらうパワーってとっても大きい。「場の力」によって行動も思考も変わるな、と。
また、本から得られる情報ってたくさんあるなとも思いました。
目次、表紙の印象、グラフィック、紙質、並び方…そこから「こういうことを語っているのではないか」と私たちは自由に推察する。ぱらっとめくった何気ない言葉も、直観的に情報をとっていくこともできますね。
また、本を書いている人の情報って専門知だと思うので、たまたま隣の人と対話するよりインスピレーションが多くもらえるなぁと。もちろん隣の人からインスピレーションをもらえる時もあるんですが(笑)
本を使ってワークショップするのって、世界中の人たちとワークショップができちゃうという感じかもなと思ったんです。
また、一緒に行ったメンバーは以下のように「キザシと気づき」をまとめてくれました。
新しい発見や偶然の出会い、リアルな空間ならではのセレンディピティが生まれる瞬間がある
自分の思考を探索するインプットと人との会話で生まれるアウトプットのプロセスを短時間で体験できる
本を選ぶ時間を通して曖昧な概念や言葉に対する理解や解釈が深まるきっかけになる
今回は富士通メンバーだけで実施しましたが、今後は関心をもってくれた企業さんと一緒に、共通のテーマで「せんしょのたんけん」をやってみたいなと思っています。
ーーー この企画、インスピラボを介さなくても直接SPBSさんとやってもらっていい気がしますが、インスピラボを介す理由って何かありますかね?(笑)
池田: (笑)インスピラボや富士通と一緒にやれば、たとえばセッションの前にインスピレーショントークを入れて発想を広げたり、セッションの後に未来探索しながらアイディエーションもできますよね。そのアイデアを形にしてみることもできるでしょうし。
可能性の広がりもあると思うので、ぜひ一緒にできたらなと思っています!
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富士通インスピラボ×SPBSと一緒に「せんしょのたんけん」をやってみたいと思った方に
ここまでお読みいただき、もし富士通インスピラボ×SPBSと一緒に「せんしょのたんけん」をやってみたいと思った方は、ぜひ以下までご連絡ください。
インスピラボご紹介
インスピラボ窓口:fj-design-research@dl.jp.fujitsu.com
本屋さんという場の力を借りながら、考えにくかった、けれど本当はもっと考えないといけないと思っているテーマを、楽しく自分たちの言葉にする体験を通し、次の一歩を踏み出しやすくできたらと思っています。
【SPBSさんのレポートはこちら↓】
(インタビュー・執筆:小針美紀)