古着、Y2K、クワイエットラグジュアリー…昨今のトレンドワードから得られる今後のファッションの洞察[ファッションリベラルアーツvol.11]
昨今、ファッショントレンドの移り変わりがどうも目まぐるしく感じられ、私たちのファッションを翻弄しているように思えます。
そう実感しているのは、わたしだけなのでしょうか…
どうやら、そうでもないようです。
『VOGUE JAPAN』に掲載された「アルゴリズム化するファッショントレンド。私たちはなぜ、同じような服を着るようになったのか」によると、近年、トレンドのサイクルや寿命が短くなる中で「トレンド疲れ」を感じる人々が出現し、トレンドに左右されないような“周囲に溶け込む目立たない服装”を好むようになっている傾向があるといいます。
「トレンド疲れ」というワードは個人的にもしっくりきます。
この疲れの背景には“トレンド”へのアクセス過多があるのではないかと踏んでいます。
一昔前まで“トレンド”にアクセスすることはそう容易ではありませんでした。
映画の中にファッションのトレンドを見た時代(シネモードなどと呼ばれる)、映画館の大きなスクリーンを前にしなければ、トレンドと接触することはありませんでした。
あるいは、雑誌がファッションカルチャーを支えた時代、木村拓哉や浜崎あゆみが掲載された雑誌を開かない限り、トレンドの先端を垣間見る機会はそう多くありませんでした。
翻って、現在はどうでしょう。
スマートフォンやパソコンを通じて、誰でもすぐに様々な情報へのアクセスが可能となり、あれほど遠くにあった“トレンド”は今や、片手の中で繰り広げられる身近なものになったといえます。
近年のファッション文脈におけるトレンドワードといえば、“古着” “Y2Kリバイバル” “クワイエットラグジュアリー(控えめなラグジュアリー)”などが代表的でしょう。(込み入ったところを拾い上げればキリがありませんが、一般的な認知を得ているものとして)
どうでしょうか。
Y2Kのリバイバルやそれに起因する古着の流行が起きているかと思えば、そのすぐそばで控えめでラグジュアリーな服装が流行している。
全く趣の異なる、ともすれば真逆のトレンドがこうも簡単に並列する時代です。
当然これは、流行の震源地が違っていたり、流行を受容する人のファッションに対する感覚に若干の違いがあったりと…本質的には微妙な差異があるものの、同じ“トレンド”と一括りにして解釈されている現状です。
この背景には、先ほど来言及した“トレンド”が片手の中で繰り広げられるようになったことで、トレンドがまさに“消費”されるようになったことがあると考えます。あるいは、“映画”や“雑誌”のような一本化されたメディアがトレンドを牽引するのではなく、SNSで分散されたメディアが各々の解釈でトレンドを形成する時代になったからともいえるかもしれません。
いずれにせよ、昨今のトレンドワード-古着、Y2K、クワイエットラグジュアリー-から洞察するに、今後はこれまで以上に一元的なトレンドの見方は通用しないのだろうなと感じます。
ダブルスタンダード -Y2Kや古着みたいな派手で個性的な服装もいいし、静かで品のある服装もいいよね- という感覚を持ってファッションに接していく必要があるのだろうなと考えるこの頃です。
それにしても「トレンド疲れ」は拭いきれない気もしますが…。
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