insomnia|ファッションリベラルアーツ

『衣服を哲学し、自由を着る』をコンセプトにファッションをより自由に楽しむための教養を発信しています。哲学や社会学、歴史的背景などアカデミックな視点からファッションを楽しみたい方はぜひ。 [ファッションリベラルアーツ(不定期)][ファッションコンセプト思考(準備中)]

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『衣服を哲学し、自由を着る』をコンセプトにファッションをより自由に楽しむための教養を発信しています。哲学や社会学、歴史的背景などアカデミックな視点からファッションを楽しみたい方はぜひ。 [ファッションリベラルアーツ(不定期)][ファッションコンセプト思考(準備中)]

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  • ファッションリベラルアーツmagazine

    当ブログで連載中の「ファッションリベラルアーツ」に関する記事をまとめたマガジンです。 『衣服を哲学し、自由を着る』をコンセプトにファッションをより自由に楽しむための教養を発信しています。哲学や社会学、歴史的背景などアカデミックな視点からファッションを楽しみたい方は必見です。

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“ファッションリベラルアーツ”という思考ツールの概説書

こんにちは、insomniaと申します。 当ブログ [ insomniaファッションリベラルアーツ ] では、『衣服を哲学し、自由を着る』をコンセプトに、ファッションをより自由に楽しむための教養を発信しています。衣服にまつわる哲学や社会学、歴史的背景などアカデミックな視点からファッションを探求するブログです。 今回は改めて『“ファッションリベラルアーツ”とはどのような思考ツールなのか?』を3つの視点からお伝えできればと思います。今まで当ブログをご覧いただいていた方は勿論、今

    • 値段を理由に着たい服を諦める時代はもう終わりです。

      まずはじめに断言します。 値段を理由に着たい服を諦める時代は、もうすでに終わっています。 高い服を安く買う“方法”が既に体系化されているからです。 今回の記事では、『“誰でもできるのに誰も気づいていない”ハイブランドを安く買う裏技大全』(有料記事¥550)で紹介しているハイブランドを安く買う方法を特別にほんの一部だけ抜粋して無料公開したいと思います。 そもそも、こちらの有料記事は、2024年5月22日まで全文無料公開しておりましたが、記事内で言及している“ハイブランドを安

      • “最遅”でおしゃれになる方法

        -誰も言葉にできなかった「あなたのセンス」を解き明かす- YouTubeやInstagramに転がっている「簡単におしゃれになる方法」や「絶対にモテる服装」は全て戯言です。 そんな魔法のような方法があれば、今すぐわたしに一報をください。 その方法がたしかなら、スタイリストはおろか洋服屋から販売員が消え、ほとんどのファッション雑誌が遅くとも再来月には廃刊に追い込まれることでしょう。 「簡単におしゃれになれる方法なんかない」 再生数やいいね数に喘ぐインフルエンサーは決して

        • ずっと着たかった服を、着よう。 [おしゃれマダムの説教と5歳児が考えるおしゃれの話]

          願わくは、この記事が服装に悩むたくさんの人に届きますように。 - 「そんな退屈な服を着て、死ぬつもりなの?」 -以前、海外の随分と年季の入ったブティックに立ち寄った際、小洒落た店主からそう尋ねられたことがありました。 わたしがファッションとの向き合い方を変えるきっかけになった出来事です。 忘れもしないグレイヘアにベレー帽、サテン生地のスカーフを首に巻いて、ショッキングピンクのテーラードを羽織った彼女(齢70と推測)からすれば、当時のわたしの服装は幾分か“退屈”に見えたこと

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          24本

        記事

          本質的な“ファッション”は写真に映らない[ファッションリベラルアーツ vol.24]

          バレンシアガのコレクションで見た“滑稽な光景”上記の写真は、BALENCIAGA 25年サマーコレクションの様子を写したものです。このショー映像を確認している際に「ファッションショーもここまできたか…」と、つい感じ入るものがありました。 ここでわたしが注目したのは、バレンシアガが提案する前衛的なストリートスタイルの数々ではなく、ランウェイを取り囲む無数のスマートフォンです。 ファッションショーのフロントロウ(最前列)には、ジャーナリストやセレブリティ、バイヤー等ファッション

          本質的な“ファッション”は写真に映らない[ファッションリベラルアーツ vol.24]

          ファッションで比較するの、やめにしませんか?[ファッションリベラルアーツ vol.23]

          某Xのタイムラインを横目で見ていると、ファッションに関する情報をポストしているアカウント同士で言い合いをしていたり、他人の着こなしをリポストして小馬鹿にしていたり…。何かと不快感を抱くことが少なくありません。 YouTubeには【NGコーデ‼︎】【〇〇万円分購入品】のような「だからなんなのさ、、、」と言いたくなる文言がぎっしり。ついでにコメント欄にもファッションの権威がたくさんいて、辛辣な御意見をくださいます。 いつの間にかファッションが他者と競い合う“競争原理”のうちに晒

          ファッションで比較するの、やめにしませんか?[ファッションリベラルアーツ vol.23]

          映画『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』から考えるファッションの現在と未来-

          注)当記事は、映画「ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー」をきっかけに“現在、そして未来のファッション”を考えています。映画の具体的な内容は含んでおりませんので、これから観る方は鑑賞の補助線として、既に観た方は鑑賞後の補足として読んでいただければと思います。 ※当記事は、映画で詳細されるジョン•ガリアーノの差別発言に関して是非を問うものではありません。 ファッション界には異端児が必要だ2024年9月20日(金)公開の映画「ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイ

          映画『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』から考えるファッションの現在と未来-

          過酷な環境が新しいファッションをつくる[ファッションリベラルアーツvol.21]

          ここ数年、メンズファッションのトレンドとして「シアー素材」や「ノースリーブ」等の素肌見えするアイテムが市民権を得ています。 レディースでは定番的に着用されている透け感のあるアイテムや露出度の高いアイテムですが、それ故に抵抗感を覚える男性も少なくありませんでした。 そんなアウェーな環境ともいえるメンズファッションで、現在トレンドアイテムのひとつに目されるシアー素材やノースリーブ。 フェミニンな印象の強いアイテムがマスのストリートにまで波及した背景には一体どんな文脈が存在するの

          過酷な環境が新しいファッションをつくる[ファッションリベラルアーツvol.21]

          ファッショントレンドやパーソナルカラーって、そんなに大事なんだっけ?[ファッションリベラルアーツvol.19]

          いきなりですが、ファッショントレンドやパーソナルカラーって、そんなに大事なんですっけ? リアル店舗で服を買っていると、ショップスタッフの方から「今こういうアイテムがトレンドなんですよ」と声をかけられることがしばしばあります。 または、情報番組で季節の変わり目に「今シーズンのトレンド」が紹介されていたり。YouTubeで検索をかければ【トレンド解説】が山のように出てきたり。雑誌の表紙にもトレンドを強調するような煽り文句が載っていたり。 わたしたちの衣生活を取り囲む、メディアや

          ファッショントレンドやパーソナルカラーって、そんなに大事なんだっけ?[ファッションリベラルアーツvol.19]

          ハイブランドが無駄に高い理由[ファッションリベラルアーツvol.18]

          かつてバレンシアガが販売し、一部界隈を騒がせた“20万円のゴミ袋(バッグ)”や“22万円のボロボロスニーカー”。 その価格の裏付けは一体どこにあるのでしょうか。 たしかに、20万円のゴミ袋にはカーフスキンレザー(最高級の牛革)が使用されていますし、22万円のボロボロスニーカーはまるで先ほどまで道端に落ちていたかのようなリアルなユーズド加工が手作業で施されています。 しかし、いくら素材や工賃を考慮しても“20万円”を超える値打ちを即座に感じることはできません。 では、次の写

          ハイブランドが無駄に高い理由[ファッションリベラルアーツvol.18]

          ユニクロとコムデギャルソンのたった1つの共通点 -ファッションという破壊的イノベーション- [ファッションリベラルアーツvol.17]

          日本が世界に誇るファッションブランド −ユニクロとコムデギャルソン−。 両者はまさに“ファッション”の体現者です。 「LifeWear」をコンセプトに人々の生活に寄り添う服を紡ぐユニクロ。 高い技術力が生み出す製品と洗練されたデザインの数々は“ファストファッション”の地位向上に大きく貢献しました。 1982-83年秋冬のパリコレクションにて、ファッション界を激震させたコムデギャルソン。 同ブランドのデザイナー川久保怜は、黒をメインカラーに据え、裏地が剥き出しになったジャケ

          ユニクロとコムデギャルソンのたった1つの共通点 -ファッションという破壊的イノベーション- [ファッションリベラルアーツvol.17]

          オーバーサイズの時代は終わった…から何?[ファッションリベラルアーツvol.16]

          2010年代半ばから一大トレンドとして注目を集めるようになった“オーバーサイズ(ビッグシルエット)”のファッション。 2010年代までは細身のシルエットが主流だったものの、現在ではすっかり「ゆったりとしたスタイル」が定番のひとつになっています。 タイトなシルエット(〜2010年代前半)➡︎ビッグシルエット(2010年代半ば〜)というトレンドの教科書の1ページ目に載っているようなわかりやすい変化がこの頃に起きていたわけです。 しかしここ数年、こんな記事やサムネイルを頻繁に見か

          オーバーサイズの時代は終わった…から何?[ファッションリベラルアーツvol.16]

          ファッションを“理解しよう”という慢心[ファッションリベラルアーツvol.15]

          最近はファッションを“解説”するコンテンツが増えたように感じます。 試しに『🔍 ファッション 解説』で検索してみたところ、 「おしゃれ上級者は知っている」「ブランド解説」「着こなし解説」等…それはたくさんの“ファッション解説コンテンツ”が溢れていました。 一見すると、確かにどれも明快で、一本筋が通ったものばかりに思えます。 ただ、この“解説コンテンツ”がファッションにもたらした誤謬が幾分かあるな、とも感じています。一つ事例を取り上げてみます。 ハトとカエルのバッグをめぐる

          ファッションを“理解しよう”という慢心[ファッションリベラルアーツvol.15]

          ファッションとアートの関係性[ファッションリベラルアーツvol.14]

          わたしたちが身に纏うすべての衣服は“デザイン”と“アート”に分けられます。 快適性を追求し、マイクロ繊維を使用した機能性素材による衣服は、紛れもなく“デザイン”です。 あるいは、かつて鉱山での採掘を行う際に作業着として使用されたデニムパンツも立派な“デザイン”といえます。 実のところ“デザイン”とは、問題解決のための手段として位置付けることができます。 例えば、今では列記としたファッションアイテムであるサングラスも、「北極圏における雪の照り返しによる強烈な眩しさの遮断」とい

          ファッションとアートの関係性[ファッションリベラルアーツvol.14]

          ファッションの脱正解主義[ファッションリベラルアーツvol.13]

          注意)本記事は批判的に思える表現がございますが、筆者は全く批判的な立場にはありません。最後まで読んでいただけますと幸いです。 これまでの伝統的なファッション業界の在り方に待ったをかけ、昨今のファッションの方向性を決定づけた人物がいます。 メンズファッションバイヤーのMBさんです。 個人的にMBさんのファッションやおしゃれに対する考え方が詰まっているな、と感じるインタビュー記事があります。 タイトルは『おしゃれな人は、自分のために服を着ていない』。 主張の要点をまとめると

          ファッションの脱正解主義[ファッションリベラルアーツvol.13]

          誰がために服を着る −ファッションはもっと自由でもいいんじゃない?−[ファッションリベラルアーツvol.12]

          「最速でおしゃれになる方法」や「モテコーデ」、「オシャレな人とオシャレじゃない人の違い」や「202X年 流行スタイル」のような文言が近年のファッション業界ではこれまで以上に散見されます。 この潮流はSNSが中心的なメディアになった2010年代後半から始まったのかな、という気がしています。 現在もその勢いは衰えることを知りません。 ファッションは“文化”であり、“文化”の形態は時代に応じて変化して然るべきなので、この傾向に否定的ではありません。中でもファッションはトレンドの

          誰がために服を着る −ファッションはもっと自由でもいいんじゃない?−[ファッションリベラルアーツvol.12]