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人にダサいという前に、鏡でも見たらどうだい?

こんにちは、insomniaです。
日頃よりファッション業界の端っこで右往左往しております。
端っこと言いましても、人よりはほんの少しだけファッションに精通しているせいか、多くの方からよく聞かれる質問があります。
それは「人から服装がダサいと指摘されるのですが、どうしたらおしゃれになれますか?」という質問です。

本記事では、2024年にファッション界をほんの少しだけザワつかせた3つの話題をきっかけとして「ファッションの文脈で語られる“ダサい”ってなんだろう?」を考えてみたいと思います。

もう2025年だから関係ない!とブラウザバッグせずに、少しだけお付き合いください。

結論を先に申し上げますと…
「ダサい=自分が知らないもの、または自分の意にそぐわないもの」です。
詳しく説明していきましょう。

知らないものは“ダサい”で片付けてしまう

2024年上半期、ファッション界隈で「その服装ダサいのでは?」と真っ先に槍玉に挙げられたのが、バレンシアガとマルジェラです。

バレンシアガの代表的なスニーカーのひとつ“3XL”に対し「小学生の運動靴」とX(旧Twitter)に書き込まれ、話題になりました。(下記写真)

3XLの特徴的なボロボロのデザインがまるで小学生が履き潰した運動靴のように見えることからこのような揶揄ともとれるポストが投稿されます。

この発言自体の是非はさておき、問題はそのコメント欄です。
「こんなボロボロの靴に15万円かー」「え?これが新品?」「ダサい」等……スニーカーのデザインとその値段に対する批判的なコメントが溢れ返り、物議を醸しました。

この「3XL小学生の運動靴事件」の数日後、再びX(旧Twitter)で事件は起きます。

とある主婦の何気ないポストが、その呼水に。

息子(大2)が選んだ成人式のスーツが届いた。しつけ糸がついていたので切ろうとしたら『マルジェラだから💢💢』と危うくころされるとこだった。

マルジェラの服に施された特徴的な糸のデザインをめぐる親子のやりとり。
これ自体はとてもほっこりする内容なのですが、問題はまたしてもそのコメント欄です。

ブランドを象徴する糸のデザインに対して、
「普通にダサい」「えっ?ダサい…」「ださっw」等、心無いコメントが無数に寄せられたのです。

「3XL小学生の運動靴事件」と「マルジェラしつけ糸ダサい事件」を通して、明らかになったのは多くの人が知らないものを単に「ダサい!」の一言で片付けてしまうということです。

まるで食べたことのない料理に対して「マズい!」と言っているようなもので、とても解像度の低い「マズい」であることはいうまでもありません。
着たこともなければ、手に取ったこともない。ましてや見たこともない洋服に対して“ダサい”と言えるほどの審美眼を持つ人は、今すぐファッションデザイナーの門を叩いてください。

この「知らない=ダサい」がファッション文脈における“ダサい”の1つ目の使われ方です。

なんとなく“ダサい”と思う

2024年の服装に関する議論として記憶に新しいのが「パーカーおじさん」。

発端は、とある作家の方が「40代以上のおじさんがパーカーを着て仕事をするのはおかしい」という趣旨の発言を行ったことです。
切り取り詐欺にならないように少しだけ補足すると、おじさんがファッションに若者の要素が入っていることに違和感を覚えるとした上で、おじさんがパーカーを着ていることはおかしいという説明をされています。

ネット上では、一連の発言に対して賛否が分かれる形となりました。

この発言に対する直接の是非は控えますが、この方の主張はあくまで「パーカーを着ているおじさんがおかしく“感じる”」という域を超えません。

この論調が正しければ、「おじさん要素を含むファッションアイテムを若者が着るのはおかしい」がまかり通ってしまいますが、おじさんの着こなしを真似する“グランパコア”というトレンドが2024年に若者の間で流行しました。

このように人の服装に対して「おかしい」「みっともない」「ダサい」という人の大概は、自分の価値観にそぐわず、なんとなくそう思っているだけに過ぎません。

これが2つ目のダサいの使われ方、「なんとなくダサい」です。

「人から服装がダサいと指摘されるのですが、どうしたらおしゃれになれますか?」


改めてこの質問に答えるのであれば、「ダサいと指摘する人は基本的に相手にしなくていい」です。
もし万一、大切な人やダサいと思われたくない人に指摘された場合にのみ、ほんの少しだけ考えることにしましょう。

知らないものに対して脊髄反射でダサいと言ってしまう人や主観でファッションの是非を語る人を相手にするだけ時間の無駄です。

では、どうしたらおしゃれになるか……は、また次回にしますか。

2025年もファッション界をザワつかせる話題が度々散見されることでしょうが、どうか心安らかに静観することにしましょう。


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