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COMPATH体験レポート(日本版フォルケフォイスコーレ)

5/22から8日間、北海道の東川町にて日本版のフォルケホイスコーレと言われているCOMPATHに参加してきました。学びが多い1週間だったので、体験したことについてメモします。​

▼COMPATHについて

▼今回のプログラムについて


そもそもフォルケとは?

フォルケホイスコーレとは、19世紀にデンマークでできた、民主主義的思考を育み、知の欲求を満たす"人生の学校"です。大きな特徴としては、若者からシニアまで幅広い年代の人たちが、共同生活の中でお互いに対話をしながら、自分自身の内側にある幸せや関心にしたがって考え、学ぶという点です。

大学時代に友人がデンマークの本場のフォルケに参加してて楽しそうだったのを最近思い出し、フォルケをベースにした日本のプログラムがあるということを知って参加を決めました。

1日目|森の名刺作り+8日間のビジョン作り

森の名刺作り

参加者は15人程度。10代〜40代まで幅広い年齢層でした。お互い初めましての中、まず自己紹介のために森に落ちている素材を使って森の名刺を作りました。布を一枚渡されて、そこに森の素材で自由に表現する形です。平面に素材を配置する人もいれば、立体的に作る人もいて、とてもユニークなアイスブレイクになりました。

ちなみに自分は、「興味と蓄積」というタイトルで、様々な物に興味と持ちつつ、それを蓄積して深堀していく性格を表現しました。

8日間のビジョン作り

徐々にみんなと打ち解けてきたところで、続いては、各々森を歩きながら8日間のビジョン作りを行いました。絵で表現する人や折りで表現する人など、自分がそれぞれ表現しやすい形でこれから8日間で考えていきたいことについて考えを整理してシェアを行いました。

自分は「豊かな時間の過ごし方とは?」という問いの答えを見つけるビジョンを設定しました。自分は仕事が好きなので普段の仕事の時間も豊かな時間ではあるのですが、これまであまりにもそれだけの暮らしになってしまっていました。他の"豊かな時間"のあり方についても、自然豊富な北海道の環境の中で探して、改めて生活を再設計したいという意図がありました。

2日目|マインドフルネスとヨガ

この日は選択講座で、安永香織さんのヨガレッスンを体験しました。自分は初めてのヨガ体験だったんですが、自分の体の固さに絶望しながらも、全身をほぐすことができて終わった後すっきりすることができました。途中瞑想しながら自分の思考を探っていくワークがあったんですが、先生の声が心地良すぎて開始1分くらいで爆睡してしまいました。。

この日は午後に、本業にて大きなプレゼン(200人くらいに対してのやつ)をリモートでする必要がありました。午前中にヨガで気持ちが緩みきった直後だったので、若干気持ちの切り替えが大変でした。また、プレゼンを終えた後の夜、東川の田んぼ道の中を散歩に出かけたので、緩→急→緩と、気持ちの緩急が激しい一日になりました。ただ、メリハリがついていて全体を通して充実はしていたので、案外こういう一日の過ごし方も悪くないかもしれないと思いました。

4日目|旭岳登山

この日は自由行動だったので、東川から車で30分の距離にある旭岳に登山に行きました。登山といっても、ロープウェイで上まで行き、かつ登頂はしなかったので、軽く雪の上を歩いただけですが。短い時間でしたが、みんなで雪の上を歩いたり、高台でコーヒーを飲んだりする時間はとても居心地のいい時間でした。

5日目|スウェーデン織り+美瑛サイクリング

暮らしの道具づくり“衣”(スウェーデン織り)

テキスタイルデザイナーのセキユリヲさんの家でスウェーデン織りにチャレンジしました。単純作業を黙々と行うということが最近は減ってしまっていたのですが、1, 2時間ほどただ同じ動作をやっていく行為は、頭にいい余白が生まれて心が洗われていくいくような気持ちになっていました。自然豊かな場所で、気持ちのいい気候というのもあったかもしれないですが、こういう余白は日頃から心がけて作るようにしたいと改めて思いました。

美瑛サイクリング

午後は自転車で、東川→美瑛まで無謀にも自転車で行きました。片道1時間ですが高低差がかなりあって、行きの時点で腰が崩壊しかけました。。ただ思いがけず様々な素晴らしい景色に巡り合うことができ、その感動を3人で共有できたのはいい体験でした。また、山登りもそうですが、何か共通のゴールに向かって歩調やペースを合わせながら行う会話は、お互いの身体や精神がシンクロしていて一番心地よい会話ができるんじゃないかと思いました。

6日目|beの肩書きワークショップ+MUSIC NIGHT

beの肩書きワークショップ

私たちは一般的に、普段何をやってるかの肩書き(つまり「doの肩書き」)を、他者理解の道具にすることが多いです。しかし今回は、一旦doを取っ払って自分がどういう人かを見つめ直す「beの肩書き」を作るというワークショップに参加しました。"普段の考え方"や"幸せな時間"などの項目について整理したり、周りから他者視点での自分へのFBをもらうことによって、自分のコアの部分はどこなんだろうということを考えるきっかけになり、とても面白いワークショップでした。

MUSIC NIGHT(歌と共同体)

この日は小西健二音楽堂というところで、音楽ユニットのドートレトミシーさんよりボイスレッスンを受けながらみんなで歌を歌ったりしました。声の出し方を少し工夫するだけで、自然に大きな声が出せるようになり、みんなで楽しく歌うことができました。みんなで歌うという体験はかなり久しぶり(中学ぶり?)だったのですが、一体感を感じれて想像以上に楽しかったです。あと、ドートレトミシーさんにプチライブをしてもらったのですが、素敵な音楽堂の雰囲気と外の雨の音、生歌の臨場感なども相まって、途中から無性に感動してきて若干泣いてしまいましたw

7日目|暮らしの道具作り

白樺プロジェクトという産業や文化の観点から白樺のあり方を見直すプロジェクトの代表をされている鳥羽山さんのお話を森の中で聞きました。50年後100年後を見越して森を育てていくというお話が印象的で、自分は普段かなり短期のスパンでのものづくりをしているので、この長期の視点でのもの作りの意識も同時に重要だと改めて気づきました。
鳥羽山さんのお話を聞いた後は、白樺の皮を使ったカゴ作りを行いました。ボンドなどを一回も使わずに折りだけで一つのプロダクトが完成したということに驚いたと同時に、5日目のスウェーデン織りと同じく無心で手を動かす時間はとても心地よいなと思いました。

8日目|天才ワーク

最終日は、これまでの色んな振り返りを行いつつ、最後に「天才ワーク」というワークショップを体験しました。これまで一緒に過ごしてきたみんなと「○○の天才」というラベルを付箋に書いて送り合うというワークでした。自分がもらうのは勿論嬉しいのですが、相手の付箋を書く中で、みんなの行動などを思い返していいところを見つけるという時間がとても素敵だなと感じました。普段の仕事などでも他者にFBを送る時間はあるのですが、今回のようにいいところだけにフォーカスしたことはやったことがなかったので、色んな場所でも取り入れてみたいと思うワークでした。

貰った天才コメント

総括

8日間を振り返ると、本当にあっという間でした。ちょこちょこ仕事をしながらではあったんですが、気持ちの面ではかなりリラックスをして心に大きな余白を作れた1週間になりました。アクティビティも多種多様だったので、あらゆる切り口から自分を見つめ直すことができて、「ああ、こういう時間自分好きだったな〜」とか「こういうのやりたいわ」とかが改めて確認することができました。

自分は比較的働くのが好きなので、ついつい働き詰めになってしまうことが多いです。それはそれで豊かな時間なのですが、今回1週間東川の生活をしてみて、その一面的な過ごし方はやはり勿体無いなと感じました。感覚に身を任せて森の中を歩いてみたり、友達と少し無理して自転車で遠出してみたり、子供と同じ目線で遊んでみたり、草原の上に寝っ転がってみたり、夜遅くまで議論してみたり、、、色んな"豊かさ"がこの世界にはたくさん存在するということを改めて実感しました。

東京にいて普段通り働いていたら気づけなかったであろう豊かな時間でした。今回それに気づけたのも、「豊かな暮らしってなんだろう?」という問いを持ってゆったりと8日間過ごせたからかなと思います。ついつい一つの豊かさに依存しがちな自分にとっては、この問いによって常に自分に問いかけて、死ぬまで生活をアップデートさせ続けながら心地よい人生を作っていきたいなと思いました。


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