公衆衛生学大学院に合格したあと、入学までにどんな準備をすべきか?
ajapp3さんのリクエストに応えて、公衆衛生大学院の前に学習しておくべきことというテーマで書いてみます。私のおすすめは、(1)文献検索の方法を身に着ける(2)医学統計・疫学の教科書をきちんと読む、(3)英語論文の書き方に関する本を読んでみる、というものです。一つひとつ見ていきましょう。
1.文献検索の方法を身に着ける
研究分野でどのような研究がこれまでになされてきたか理解するためには、きちんとした先行研究のレビューが必要です。また、研究計画や修士論文・博士論文を書くためにも文献検索は必要です。先行研究のレビューが中途半端だと、そもそも論文のイントロでリサーチギャップを明確に書けませんし、書き終わったと思った原稿を人に見せたときに、「○○については調べてないの?」「××の研究はないって言ってるけどこんな研究あるじゃん!」みたいなことが平気で起こります。
Google scholarもそれなりに有用だと思いますが、PubMedでやるのが一番おススメです。文献検索をしたら、文献をソフトウェア(Endnote、Mendeley、zoteroなど)で管理することを忘れないでください。私は今はzoteroを使っています。文献検索に関しては、後日記事にまとめます。
2.医学統計・疫学の教科書をきちんと読む
何でもいいので疫学や医学統計の基本的な教科書を数冊通読してみましょう。それぞれの大学院で指定される教科書が事前に分かるのであればそれを読めばいいと思いますが、もしわからないのであれば、以下の教科書がおススメです。さらっと読めるものがいいと思います。
* Clinical Epidemiology
* Medical Statistics at a Glance
* Using and Understanding Medical Statistics
Twitterで情報収集すると「疫学ならやっぱりRothmanを読まなきゃ」とか、「因果と相関は違うんだよ、Causal inferenceって知ってる?」とかそういう情報ばかりになると思いますが、疫学初学者にはおススメしません。
あとは余力があれば、使用する統計ソフト(R、Stata、SASなど)を決めて、ネットに落ちているような簡単なチュートリアルをやってみるといいでしょう。判断をする際の基準になるのは、(1)授業で使うソフト、(2)一緒に仕事する人が使用しているソフト、(3)ライセンスの維持が容易なソフト(卒業・異動後のことも念頭に!)といったところでしょうか? ちなみに私はStata Userです(RもSASも使ったことがあります)。
統計でつまづく人は、統計本体の概念が難しくて躓いているのか、ソフトウェアのユーザーインターフェースに慣れていないから躓いているのかを自分の中で明らかにしながら躓くといいと思います。
3.英語論文の書き方に関する本を読んでみる
特に修了要件にDissertationがある場合には、英語論文の書き方に関する本を読んでみるといいでしょう。
* できる研究者の論文作成メソッド 書き上げるための実践ポイント
* (後日何冊か追記予定)
私が現在noteでまとめている「疫学・公衆衛生学の論文の書き方」という記事も参考にしていただければ幸いです。
まとめ
今回は、疫学・公衆衛生学を学び始める大学院生の方へのおススメということで書いてみましたが、いかがでしたでしょうか? 何もかもをやろうとするとあっという間に時間が無くなります。やるべきことにきちんとフォーカスをあててスキルアップをめざしてください。
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