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社会疫学、国際保健学。博士(保健学)。中国、日本、アメリカ、ベトナム等のデータを用いた公衆衛生学・疫学研究に従事。2024年8月末からロンドンで駐夫になることになりました。

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社会疫学、国際保健学。博士(保健学)。中国、日本、アメリカ、ベトナム等のデータを用いた公衆衛生学・疫学研究に従事。2024年8月末からロンドンで駐夫になることになりました。

マガジン

  • ロンドン駐夫生活

    駐夫生活にまつわるエッセイ

  • 疫学・公衆衛生学の論文の書き方

    疫学・公衆衛生学論文の書き方に関するメモです。

最近の記事

結局唐揚げが世界で一番うまい

ロンドンの現地校に通う子どもたちの小学校で、PTA主催のポットラックパーティーが企画され、日本食を作って持っていくことになりました。いろいろと悩んだ末に、唐揚げもどきを作って持っていきました。 インターナショナル・イブニング子どもたちの小学校のPTA主催で、インターナショナル・イブニングという催しがありました。これは、様々な国籍の生徒がいる学校ならではのイベントで、各家庭が自国の料理を持ち寄るポットラックパーティーのような形式の集まりです。PTAや学校のファンドレイジングと

    • ロンドンではじめてのハロウィン

      ロンドンに引っ越してきて初めてのハロウィンでした。ロンドンではハロウィンはそこまで盛んでないと聞いていたのですが、私の住んでいる地域ではかなりにぎやかな夜になりました。 完全に油断しましたスーパーマーケットには9月中旬からハロウィン関連商品が並び始めていて、早くから飾りつけをしていたお家もあったのですが、街の全体的な雰囲気としては、そこまでではなかったので、我が家はカボチャを一つ買って、ジャックオーランタンを作ってお茶を濁そう、お菓子もちょっとだけ買っておけばいいだろう程度

      • 駐在に帯同することを検討した際に脳裏をよぎったひと

        妻の海外駐在に同行するかどうか考えていたとき、私の頭をよぎった方が3人います。今回は、その3人についてお話ししたいと思います。 育休を取得した男性教師私が中学2年生くらいの頃だったでしょうか、漢文の先生が1年間の育児休暇を取得しました。私が中学2年生だとすれば1997年なので、男性が育休を取るというのは今よりもずっとずっと珍しいことでした。なんせ「育児をしない男を、父とは呼ばない」というtrfのSAMが出演していた政府広報(1999年)が話題になっていたような時代です。

        • いつになっても英語での電話は慣れない

          日本で生活していた時は何とも思わなかった日常的なタスクが、海外で「外国人」として生活すると、まったく違う経験になることがありますよね。私にとっては、電話でのコミュニケーションがその一例で、いつになってもなかなかなれません。 子どもたちのベッドの手配現在滞在中の物件は、ほとんどの家具が揃っている、いわゆるFurnishedの物件で、子供部屋には前の住人も使っていたシングルベッドが2台ありました。ただ、それをそのまま置くとそれだけで部屋がいっぱいになり、遊ぶスペースがなくなって

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        • ロンドン駐夫生活
          6本
        • 疫学・公衆衛生学の論文の書き方
          7本

        記事

          妻の会社に対して思うこと

          妻が海外赴任を打診されたこと自体は、妻のキャリアを考えればとても良いことなのだろうと思いますし、これだけ共働き世帯が増えていることを考えれば、妻の仕事を理由として夫が仕事を休職・退職することが起こるということ(そしてそれが自分の身にも起こること)は不思議なことではありません。ただ、どうも個人的に腑に落ちないことがあります。 当たり前ですが妻の会社に対する忠誠心は私にはありません 終身雇用制度が崩壊しつつある昨今、「御恩と奉公」で社員に全国転勤や海外勤務を命ずることがどんど

          妻の会社に対して思うこと

          駐夫生活はじまる

          ロンドンへの赴任が決まった妻に帯同するために、仕事を退職し、二人の子供たちと移り住んで、早くも1カ月半が過ぎました。なんとかうまくいっている部分もあれば、まだまだ慣れない部分もあります。 引越しが何よりも大変 今回の引越しでなによりも痛感したのは、引越しがただただ大変であるということ。荷物の選別から梱包、そして新居での荷解きまで、すべての過程において想像以上の労力と時間を要しました。妻は荷物のパッキングを一部してくれたとはいえ、先に渡航してしまったので、一人で家の中を空に

          駐夫生活はじまる

          Resultsの書き方 ~何を発見したか?~

          Resultsも前回のMethodsと同様、淡々と書くだけの簡単なお仕事です。なので、そんなに考えることもありません! Results sectionの構成私は基本的に、一つの論文につき3つくらいテーブルを載せることが一般的です。 Table 1. Basic characteristics Table 2. Results of regression analysis Table 3. Results of sensitivity analysis (Supplemen

          Resultsの書き方 ~何を発見したか?~

          Methodsの書き方 ~どのように研究をしたか?~

          Methodsは、料理に例えるとレシピです。他の研究者が研究を再現しようとして問題なくできる程度に情報を提供する必要があります。カレーのレシピを書く時にカレールーのことを忘れることが許されないように、すべての材料・手順について細かく書きましょう。過去形で書くのが基本かと思います。 書くべき内容(1)研究の具材 * 研究を行った場所 * 対象者(組み入れ基準と除外基準、Participant flow。コホートをきちんと定義する。) * 追跡調査の場合はフォローアップについて

          Methodsの書き方 ~どのように研究をしたか?~

          Introductionの書き方 ~なぜ研究をするのか?~

          Introduction(緒言)は「逆三角形」に書き進めましょう。逆三角形というのは、 *よりGeneralな話 → よりSpecificな話 *世界の話 → 地域の話 というように、段落が進むにつれてトピックの照準を絞っていくということです。まずはこの大枠を頭に入れておきましょう。 背景情報最初に書くのはBackground information(背景情報)です。下の図で黄色くしるしをつけているところです。私は取り上げようとしているトピックがいかに公衆衛生学・国際保健学

          Introductionの書き方 ~なぜ研究をするのか?~

          公衆衛生学大学院に合格したあと、入学までにどんな準備をすべきか?

          ajapp3さんのリクエストに応えて、公衆衛生大学院の前に学習しておくべきことというテーマで書いてみます。私のおすすめは、(1)文献検索の方法を身に着ける(2)医学統計・疫学の教科書をきちんと読む、(3)英語論文の書き方に関する本を読んでみる、というものです。一つひとつ見ていきましょう。 1.文献検索の方法を身に着ける研究分野でどのような研究がこれまでになされてきたか理解するためには、きちんとした先行研究のレビューが必要です。また、研究計画や修士論文・博士論文を書くためにも

          公衆衛生学大学院に合格したあと、入学までにどんな準備をすべきか?

          論文は落書きしながら書き始める

          論文をどこから書き始めるか論文を書くスタイルはいろいろなものがあると思いますが、私はざっくり書き始めます。イメージはスケッチと同じです。スケッチするときは、対象の大枠を書いて、そこから細部を書き込んでいきますよね? だれも前髪の一本一本から書き始めたりはしないわけです。 もう少し具体的に書きましょう。 私が論文を書く時は、前回書いたIMRaDフォーマットをそのままWordファイルにコピペします。ファイルの名前は「manuscript20200510.docx」など書いた日

          論文は落書きしながら書き始める

          論文を書く上での心構え+構成について ~IMRaDフォーマット~

          はじめに知っておいてほしいことおそらくこの文章を読んでくださっている人の多くは、英語を母語としない方かと思います(私もそうです)。そんな方たちが英文ライティングを身に着けようとするときに、きちんとした目標設定をすることが大切だと思います。言い方を変えると、目標設定を誤るといつまでたっても論文投稿・論文発表というゴールにたどり着きません。 私たちは小説家ではありません。 だから、心の襞をなぞるような文章はいりません。 私たちは言語学者でもありません。 だから、細かい文法にと

          論文を書く上での心構え+構成について ~IMRaDフォーマット~

          疫学・公衆衛生学の論文の書き方

           論文の書き方を習うチャンスがない人のために、簡単なTipsを書こうと思います。疫学・公衆衛生学分野の論文を書かれる方を主な対象として想定していますが、いろいろな方の参考になれば幸いです。  全部で10回に分けて紹介しようと思います。どこから読んでいただいても大丈夫なように書いていきます。以下のリンクからお好きなコンテンツにお進みください。 目次【第1回】投稿に必要な「材料」~Editorial Managerを見てみよう~ 【第2回】論文を書く上での心構え+構成について

          疫学・公衆衛生学の論文の書き方

          投稿に必要な「材料」~Editorial Managerを見てみよう~

          論文投稿するときに何を準備しておけばいいか、確認していきましょう。もちろんジャーナルによって多少の違いはありますので、その都度投稿規定(Instructions for the authorsと呼ばれます)を確認していただきたいのですが、まずは大枠の理解をめざします。  今回は、ひとつの例としてBMC Public Healthの投稿サイトを見ていこうと思います。BMC Public Healthも含め、たくさんのジャーナルがEditorial Managerというオンライン

          投稿に必要な「材料」~Editorial Managerを見てみよう~