論文は落書きしながら書き始める
論文をどこから書き始めるか
論文を書くスタイルはいろいろなものがあると思いますが、私はざっくり書き始めます。イメージはスケッチと同じです。スケッチするときは、対象の大枠を書いて、そこから細部を書き込んでいきますよね? だれも前髪の一本一本から書き始めたりはしないわけです。
もう少し具体的に書きましょう。
私が論文を書く時は、前回書いたIMRaDフォーマットをそのままWordファイルにコピペします。ファイルの名前は「manuscript20200510.docx」など書いた日の日付を入れて毎日更新しています。そうすることで日々どのような編集を加えたか記録に残すことができます(余談ですが、統計のスクリプトも同じように日付をファイル名に含めて管理しています。script20200510.doなど)。
IMRaDのIntroductionとMethodsの項目に書かないといけないことをまずはふんわり書き出しましょう(本当は研究計画書をきっちり書いていればここはそんなに時間をかけないで書けるはずです)。英語が無茶苦茶でも構いませんし、なんなら日本語で書いてもいいでしょう。「何を書くべきか」「AとBのどちらを先に書く方が全体としておさまりがいいか」などなど検討します。できるのであれば箇条書きくらいにしてもいいと思いますが、この段階での目的は論文の骨格作りです。
論文を指導してくれる人とはこの段階で(もしくは研究計画をブラッシュアップするプロセスの中で)、論文全体の構成・方向性に関する議論をした方がいい、というのが私の持論ですが、全部完成してからでないと読まない人も結構いますよね・・・(時間が無駄になると思いますが、指導教員を変えることはなかなかできないので諦めてください!)。
トピックセンテンス
ある程度論文の骨格ができてきたら、それぞれの段落のトピックセンテンス(その段落であなたが読者に伝えたいメッセージ)をきっちり書く作業に移ります。それぞれの段落は、トピックセンテンスとそれをサポートするエビデンスで構成されます。
ここで少し段落について書いておきましょう。あくまでも目安ですが、一つの段落には、長くても20語の文章を3~5つ書きます。簡潔に書くことが肝要です。そうすると、どのパラグラフも大体同じくらいの長さになっていくものです。他のパラグラフよりも長いパラグラフがあるときは中身を確認して、分量を減らすか、二つの段落に分けるかしましょう。
トピックセンテンスは、その段落で一番言いたいメッセージを含む文章のことです。大抵は段落の一番初めに書いてあることが多いです。下の文章例だと赤く示しているところがトピックセンテンスになります。論文は各段落のトピックセンテンスを追っていくだけであらましが分かるように書くのが基本かと思います。
再びモアイ像を例にすると、トピックセンテンスというのはモヤイ像の顔ですね。顔(トピックセンテンス)をしっかり書いて、その顔にあった体(Supporting evidence)を付けるというイメージで論文を書いていきましょう。
まとめ
トピックセンテンスをきちんと書けないでふんわり論文を書いている人は、研究者の中にも結構多いです(でも誰にももう指導してもらえない、何故なら博士課程が最後の学習機会だから)。トピックセンテンスをきちんと書けるようにならないと、論文はすいすいかけるようになりません。ぜひこの記事を参考に身に着けてください!
前回も書きましたが、英語論文だからと言って変に凝った文章を書こうとしないことはやっぱり大切です。極端な話ですが、This is a pen.みたいな文章の羅列であっても、論理破綻していなければ全然かまわないわけです。必要以上に複雑なことをしようとして足ぐねるのはやめましょう!
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⇒ https://note.mu/inoyo/n/nb4889da4b9ee
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