【1分読書】『万年後』
『万年後』
若木はもうすっかり大人になって、周りの木と遜色ない程綺麗に桜の花を咲かす。途端に咲くようになったわけではなく、チラホラと若い花を咲かしていた。今年、気づけばもうすっかり大人の桜だ。
「もう一年だね」
春の桜の季節、僕らは結婚した。
若木だった木はそれを祝うように満開の花を見せる。
ソメイヨシノの寿命は七十年。桜や僕らはそれより未来を知ることは出来ない。妻と手を取り合う。万年後を想像するように。
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