CLIMAX
CLIMAX - ギャスパー・ノエ 2018年公開
サングリアにドラッグが混入したダンサーたちの打ち上げ会場の一夜を描いた映画。いつの間にかハイになった人々は徐々に秩序を失い会場はカオスな地獄絵図に変わっていく。
観ているこっちがバッドに入ってしまうような描写もたくさんあるのだが、どこか人間のバカらしさを俯瞰して観ているようでもあり、後味悪い感じにはならないのが不思議だった。残酷さ含めて人間的であり、当人たちの失敗なんかも少し引いたところから見るとギャグになるような。ラストに映し出される「死は特異な体験」という言葉は現世の事象に対してどこまでもフラットなスタンスである事を表明しているようだった。
スタッフロールとタイトルの入れ方がとても良い。パーティーの盛り上がりの頂点で「CLIMAX」というタイトルが表示され、そこから先は地獄絵図に変わっていくのもなんというか皮肉的で面白いし、お洒落なのでは?と関心した。エンター・ザ・ボイドの冒頭といい、ギャスパー・ノエの鮮烈さはかっこいい。
「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットではコメディだ」というチャップリンの名言。CLIMAXはあまりに悲劇要素が多いが、それでもやっぱりこの言葉の指す世の本質からは逸脱していないように思われた。
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