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【ヒト・モノ・カネ】次の時代の経営資源はどう変化していくのか #6

前回は、新たな経営資源シクミについて深掘りをしました。ホテル業を例に、経営資源としてモノだけではなくシクミを活用して成長している企業を紹介しました。今回は、新たな経営資源の最後、シンヨウについて述べます。

いつもの通り、予防線を張らせてください。

これから述べる論考は、あくまで個人的な考えで、理論として完成されてもいない、いわばまだ妄想の段階です。学術的な裏付けはおろか、十分な検証もしていません。ただの思いつきと言われても文句は言えないです。未熟な内容ということを承知した上で読んでください。

お前だれやねん?って思った方は#1をお読みいただくか、次の超ショート自己紹介を読んでください。

長野県松本市で、henca合同会社という中小企業向けの経営コンサルティングの会社をひとりで経営してます。どんなことやってくれるの?って興味を持った方は弊社Webサイトをご覧ください。

経営資源におけるシンヨウとは?

従来の経営資源、カネを補完する新たな経営資源3番目はシンヨウです。

さて、本題に入る前に経営資源とはそもそも何か?について考えてみましょう。それを考えるには、さらに本質的な、企業経営を行うのはなぜか?そこにも触れないといけないかもしれません。

経営資源や企業経営に関しての学術的、網羅的定義はたくさんの権威が論じているので、正確な情報は他に譲るとして、私が考える定義は以下のようなことです。


経営資源同士を組み合わせ変換することで価値を生み、世の中に提供することで対価を得て、その対価を経営資源に還元し、さらに価値を提供するサイクルが企業経営であり、世の中をより良くするための重要なドライバーに他ならない。


ここでキーワードになるのは次の3つです。

  • 経営資源を組み合わせる

  • 価値と対価が交換される

  • 対価は経営資源に還元される

そして従来の経営資源、カネは上記の対価に対応しているということですね。

また、企業経営のDay1を考えます。わかりやすく小売業を始めるとしましょう。まず何をしなければいけないでしょうか?商品の仕入れですね。やっていることは、カネをモノに変換して、それをお客さんに売って対価としてのカネを得る。このサイクルです。

では、カネが無ければDay1は始められないでしょうか?価値と対価の交換は不可能でしょうか?今の時代、そんなことはないですね。無形のサービス業であれば、仕事の注文を受けて価値を提供して対価を得ることは可能です。例に出した小売業ですら、売上見込みを担保にモノを調達することは不可能ではありません。

これらを可能としている取引の繋ぎ役はシンヨウです。掛け売り等、掛取引(信用取引≠株式売買用語)として現在も商習慣として定着していますね。元々は、取引の都度、現金を準備して渡す手間やコストを省くために生まれました。その土台となっているのは、この相手は約束を守ってくれるだろうというシンヨウです。

要するに、シンヨウという経営資源があれば、価値の提供を行うことは可能ですし、なんならカネを得ることだってできる(銀行融資等)ということです。

新しい時代の期待の成長ドライバー、シンヨウは課題が残る

回りくどい言い方で述べましたが、現代の経済はすでにシンヨウで回っているということがわかりました。

では、それが経営資源とまで呼べるものかどうか?

他の経営資源と組み合わせて価値を創出する。これは、例えばブランドを思い浮かべれば成立しそうです。逆に言えば、対価として得られたシンヨウの積み重ねがブランド価値ということでしょう。ブランド力が世の中をより良くし、その企業の成長ドライバーとなっていることは明白です。

ではシンヨウとはブランドそのものなのか?というと狭量な見方の気がします。例えば、金融の世界ではシンヨウがカネの評価に重要な役割をしていますね。ブランドというよりは、取引相手の過去の実績やどんなコミュニティに属しているかなど、総合的にシンヨウの多寡が見積もられています。

したがって、すでに経済活動では活用されており重要性が認識されていながら、完全な経営資源として考えるにはまだ尚早でしょう。特に技術的な問題が解決されていません。

これはシンヨウを計量することが難しいことに起因しています。スコア化という概念はありますが、取引相手によって変わりますし、絶対値にはなりません。相手との関係性で決まるので、ユニバーサルな指標ではないです。ただし、金融機関同士ではスコアが共有されてはいるので一定の基準とはなっているようです。

中国では芝麻信用というシンヨウを個人ごとにスコア化した実験的なプロジェクトがありました。一時、日本でも話題となり、同じようなサービス提供に挑戦した企業もあります。そのほとんどは今は撤退し、勢いは下火のようです。LINEも参入していますが、自社の金融事業の審査に使用しているに過ぎません。

まだまだ経営資源、カネを補完するには課題が残っているようです。金融業界が信用取引によって一気にスケールしたように、シンヨウが経営資源として認識されれば、経済活動もまた一段とスケールするのでしょうか?

次回は最終回としてこれまでのまとめをしてみようと思います。

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