【映画評論】輪るピングドラム 劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM 前編 君の列車は生存戦略 を観てきました。
──『きっと何者かになれるお前たちに告ぐ!』──
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引用と思われる個所には『』でくくっています。著作権違反とならないように慎重に書いていこうと思います。
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漫画・アニメにおいて「頭のおかしい上に行動力のある三大女子高生」として、えすのサカエ作「未来日記」のヒロイン我妻 由乃。原作滝本竜彦、漫画版大岩ケンヂ、「漫画版 NHKにようこそ!」のヒロイン中原岬。そして今作、原作イクニチャウダー「輪るピングドラム」のヒロイン、荻野目苹果であると思っている。作者の見分が狭いかもしれないが、そこはご容赦願いたい。字がいっぱいで面倒くさいので三人を一気に並べよう。
我妻 由乃。
中原岬。
荻野目苹果。
その中で語らなければいけないのはもちろん、荻野目苹果(以下、苹果)だろう。苹果はピングドラムと呼ばれる聖書を持っており、その書かれている聖書の通りに行動することを絶対としている。生きている意味とでもいうレベルである。宗教にガッツリはまってしまった女子高生は苹果みたいになるのかな、と思いながらアニメも観ていたし、映画も観ることになった。『プロジェクトM』の内容を知ったら、おそらく大半の人はぶっ飛ぶぞ。それくらい、本人もぶっ飛んでいる。やばすぎるし本当に実在したらまず関わりたくないが、映画だから面白い。こういう人間が生きていて、行動が出来て、思想などがぶっ飛んでいる状態を観ることができるから、物語というものは面白いのだと思う。全員正気な物語など面白くもなんともない。こういう現実にはまずいない女子高生のキャラが、狂おしいほど好きである。
映画の内容の話に移ろう。
著作権についてだいぶ慎重に書くつもりなので、ネタバレとかはしないと思う。多分。
アニメ版の感想から言うと、「意味が分からなかった」で終わってしまった。因果関係などは全く無く、狂った苹果や、主人公の高倉晶馬、妹の高倉陽毬が織りなす少女漫画的な性的要素がそこそこ入っている。『生存戦略ー!』という掛け声と共に、明るいポップな画面に切り替わり、よく分からい作画がずっと続いていく。全てがよく分からないのだ。その中で苹果が出てくるために、余計に意味が分からなくなる。
劇場版も、正直あまり期待していなかった。『RE:cycle of the PENGUINDRUM』と書いてある通り、アニメ版の作画をリサイクルして、ただ映画として製作しなおしただけだろう、という思いが観る前にはあった。「あの花」の劇場版のような感じかと思っていた。
だが、ピングドラム劇場版は、違った。どちらかというと「アニメの良かったところと、アニメに入りきれなかった論理的・背景的要素を劇場版にも詰め込みました」と言った内容になっていた。正直、面白かった。高倉晶馬にはなぜ両親がいないのかの謎も語られていたし、
『こんな運命おかしいよね? こんな世界おかしいよね? じゃあ壊してしまっても構わないんじゃない?』
と言った非常にダークな物語の本質とも取れる描写もあった。
輪るピングドラム 劇場版を観たブロガーからは「地下鉄サリン事件」を連想させる、と言った指摘もあった。確かに電車の描写ばかりだし、東京の駅の名前も至る箇所でわざと出てくる。それに、時間軸も地上デジタル放送の2年前の描写もあり、かなり古いことが分かる。ちなみに調べてみたら地上デジタル放送は2003年12月から放送されていたらしく、時間軸で言えば2001年。20年以上前のお話を今創り出しているのだ。
アニメを観ていて劇場版を観ていない人は、もったいないと感じた。アニメ版よりも格段に、劇場版のほうが情報量や背景が多く描かれている。
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