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ナンバーワンがいっぱいの世界。

こんにちは
井上です

日々生活している中で「人気ナンバーワン」や「売上No.1」「営業成績トップ」などなど、何かしらで1番だというモノやヒトに出くわす機会が、以前より多くなったように感じています。

SNSが普及して、企業や個人の情報発信が簡単になりました。その影響で、商品や人材を筆頭に、いろいろな競争が激しくなったのが要因ではないかと、ぼくは考えています。

確かに、何かを買うときや依頼するときに、その商品や人の評判と実績は気になるものです。そして、井上自身も評判や実績で決断することが多いです。

そうなると、売る側や提供する側は、選んでもらうために、あの手この手でアピールすることになります。そして生まれたのが、このナンバーワンがいっぱいの世界です。

今回はこの「ナンバーワンがいっぱいの世界」の中から、ぼくが実際に経験した保険営業の世界の解説と、ナンバーワンの乱立に対するぼくの考えをご紹介します。


保険の入り方

みなさん保険には入られていますか?生命保険や医療保険、学資保険などいろいろな商品がありますが、ぼくの経験上、20代後半の社会人の方だと何かしらの保険に加入した経験があると思います。

保険に入る方法はいくつかあって

  1. ネット

  2. 銀行窓口

  3. 保険代理店(ほけんの窓口など)

  4. 営業マン

だいたい、この4パターンのいずれかだと思います。この中から「4.営業マン」の実態をぼく自身の経験からお伝えしようと思います。

井上が働いていたのは、外資系の保険会社でした。外資系の保険会社の多くは、給料が出来高制に近い形態になっていて、頑張れば頑張っただけ給料が増える、そんな夢のある職業です。

もちろん、給料が青天井の職業だからといって、みんながみんな稼げるわけではありません。

ぼく自身も毎月の給料にばらつきがありました。良いときもあれば、悪いときもあり、最終的には継続的に契約を取り続けることが難しくなり、退社せざるを得なくなりました。

成績トップの営業マン達

そんな保険営業の世界に入ったころ、ぼくは自分以外の営業マンが全員やり手に見えていました。そして実際に色々なすごいウワサを耳にすることになるのです。

「あの先輩は全国で1位の売上だ」
「彼は同期の中で成績トップだ」
「次に来る新人は、同業他社でナンバーワンらしい」

最初は素直に「すごい!そんな営業マンになりたい!」と憧れをいだいていたのですが、ある時から「なんかナンバーワン多くない?」と感じるようになりました。

営業をしていると、競合他社の知り合いも増えるのですが、その人たちからも、成績優秀な営業マンの話を聞く事がよくあるのです。

知り合いから保険営業マンを紹介されたことがある方は、その営業マンが何かしらでナンバーワンであると、聞かされたことがあるかもしれません。

しかし、世の中にそんなにたくさんナンバーワンがいるわけはなく、かと言ってウソつきがたくさんいるとも考えたくはありません。
ナンバーワンがたくさんいるのには、こんなカラクリがあります。

条件付きのナンバーワン

まず前提として、ほとんどの方がウソは言っていないです。中には経歴詐称をしている悪い奴もいると思いますが、そういう胡散臭いひとたちは、すぐに退場していくので放っておきましょう。

ほとんどの方がウソは言っていないのですが、彼らの言う「ナンバーワン」には以下のような条件が付いていることが多いです

①期間

売上が一番だったとして、その期間次第では達成する難易度も変わります。
年間なのか、月間なのか、週間なのか。営業マンは、いわゆる「瞬間最大風速」を語ることが多い印象です。

保険会社のオフィスでは、営業マンの成績は毎日最新情報に書き換えられ、ランキングも更新されます。「年間成績1位」と「今週の1位」では、受ける印象に大きく差が出るのではないでしょうか。

②分母

「〇〇営業部でナンバーワン」なのが事実だったとして、果たして何人中の1位なのでしょうか?部外者がそれを知るすべは多くありません。1万人中1位なのか、10人中の1位なのか。

保険会社は「〇〇営業部」や「〇〇オフィス」などの支部が多くあります。ぼくのいた外資系の保険会社では、営業成績や社歴、採用した人数などの条件をクリアすると、新しい支部(〇〇オフィス)を作れる制度がありました。

実際、全国レベルの成績をあげている人たちが、自分たちだけで新しい支部を作って、物凄い売り上げを達成している話も聞いていました。

なので、支部によっては100名規模のところもあれば、十数名のところもあります。「オフィスでナンバーワン!」だとしても、分母が少ないと説得力も落ちてしまいますね。

③特定の分野

特定の分野や、特定の商品の売り上げだけが、極単に高い人もいます。例えば医療保険だけたくさん売っている人や、変額保険のような投資性のある保険を売るのが得意な人です。

これは場合によってはより良い印象を与えることもできます。
「ぼくは売上ナンバーワンなんです!(医療保険の件数だけ)」と条件部分を隠して語るよりも「ぼくは医療保険の販売件数が日本一なんです!」と語る方が、希少価値があってありがたく感じられます。

④数量と価格

これは保険だとわかりづらいので、一般的な商品で説明します。
広告等で「売上ナンバーワン」と書かれていても、販売数なのか売上高なのかはわかりません。では具体的に「100万個売れました」や「売上高5,000万円」だとどうでしょうか?どちらもすごく見えますよね。

しかし、これも見せ方しだいです。10円の駄菓子のような、価格の安いものが100万個売れても売り上げは1,000万円にしかなりません。製造や流通にかかる経費を考えると利益はもっと少なくなります。

逆に不動産のような価格の高いものを販売して、売上高が5,000万円の場合。2,500万円の区分マンションが2部屋売れたのだとしたら、確かに売上は大きいですが、不動産も仕入れるのに大きなコストがかかっていますし、業種的に2軒売れたぐらいでは、大きな利益にはならないでしょう。

このように実は「たくさん売れていても、単価が安い」「売上高が多くても、単価が高く販売数は少ない」ものも、数字の見せ方次第ですごく見えることがあります。もちろん、できる営業マンはこのテクニックを心得ていることが多いです。

都合のいいデータだけ見せる

このように、営業マンたちは上記の4点 ①期間 ②分母 ③特定の分野(商品)④数量と価格の条件を、自分の都合のいいように付けくわえて、自身の成績をナンバーワンとしてアピールしているのです。(複数の条件をかけあわせることもあります)

以上が、保険営業の世界にナンバーワンがたくさん発生するカラクリです。

自身がいた保険の世界の一部を明らかにしましたが、ぼくは営業マンがあの手この手でアピールするのが悪いことだとは思いません。なぜなら市場経済の中で生き残るには、自信の優位性を示すしかないからです。

人となりを知ってもらうため

井上は保険の営業で大切なのは、営業マンの人間性だと考えています。誠実、正直、まじめ、勤勉、こういった営業マンでないと人生設計を任せることはできないからです。

しかし、いくら人間力を兼ね備えている営業マンでも、会って話してみないとその良さは伝わりませんよね。だから、まずは「認知」してもらうために、そしてそこから「興味」を持ってもらうために様々なアピールをするのです。

人間性の部分(誠実、正直、まじめ、勤勉)を自分でアピールするわけにはいきません。初対面、もしくはまだ会ったことのない人が「私は誠実な人間です」とか「自分は正直者です」なんて言ってても、逆に不審がられます。

なので、他人から信用を得たり、話に説得力を持たせるために数字(成績や実績)で自分という人間を知ってもらおうとするのです。

選択肢をせばめるメリット

この数字でのアピールは、ぼくたち商品を選ぶ(買う、契約する)側にとってもメリットがあります。たくさんのモノやサービスがあふれている現代で、すべてを一から自分で検討して選ぶことは困難です。

そこに「販売数」「売上高」の数字や「ナンバーワン」「業界トップ」などのアピールがあれば、選択肢はある程度せまくなり、選ぶ手間が省けます。

ぼくたちはナンバーワンを選ぶことで、選択するというストレスをから解放されているのです。

もちろん、これらのアピール(=広告)に踊らされていると、損をすることもあるので、選ぶ側も見る目を養う必要はあります。

そしてもうひとつ、アピール合戦が過熱するということは、市場で競争が起きているということなので、商品やサービスの質は上がっていき、市場全体にとって良い循環が起きると考えられます。

おわりに

ぼくたちは自分で稼いだお金で何かを買うとき、自分には選択する自由があると考えています。

しかし(無意識かもしれませんが)選択するストレスを避けるために、安易なアピールばかりに飛びついていると「選んでいるつもりが、選ばされている」ということにもなりかねません。

現代社会をサバイバルするためには、情報をうのみにせず、上手につきあう必要があるようです。自分の価値観を大切に、賢い消費者でいたいものですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。











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