ブラッド・ブラザーズ駆け足感想
※一個人の感想です、ご了解ください。全ての空想に「ここで見たもん!」があるタイプのオタクなんですよ。ととろいたもん!
最初にホリプロ社ちゃんに言わなければならないことがあります。2幕モノなのに平日18:30開始にしてくれてありがとうございます今後ともよろしくお願いします。18時開始と18時半開始、30分違うだけでも誘いやすさがダンチなんですよ。音源円盤保存用映像配信どれもどれも待ってますね。10年前のも見たいな。
さて感想。
救いのない話、わたし救いのない話だいすき!
未来に希望が何一つない、気持ちよく救いのない話だったね! と晴れやかな気分で帰路につき、ひょこひょこTL覗いてたら「王道ミュージカル」って感想をちらほら見かけてでっかいミュージカルってそんな未来も希望もない話ばっかなの? そうかも……。みたいな気持ちになりました(好きだよ。)MAにもロミジュリにも1789にもパレードにも存在しないもんな。身分の差、生まれの差がテーマになってるミュージカル演目に救いのなさは標準装備なのかもしれない。(ああ無情と笑う男は救いがあると思います。死んだから未来はないけど……。)
ツイッタ-でもさんざ話しているんですが、「何気ない言葉が鎖となる」「かけた呪いが巡り廻って自分に跳ね返ってくる」が大好きなのでBBではそういうとこ見つけるたびテンションを上げていました。
作品のあおりが「同じ日に生まれ同じ日に死んだ双子」だし、あのオープニングから入るしで2人ほぼ同時に死ぬんだなとわかってるところ、ライオンズ妻が「生き別れの双子が本当のことを知ると死んでしまう」迷信をでっち上げてきたのもうワクワクしちゃったでしょ。絶対、絶対これは呪いと成るぞってテンション上がっちゃった。実際のところ呪いと成ったしね。「生き別れの双子の言い伝え」を信じているたった一人の人間が双子の真実を口にしたことで呪いが成就したのを見て大変たのしくなり、葬式みたいな空気のなかニッコニコしてしまったためマスクがあってよかったと心の底から思いました。ライオンズ妻はかつて馬鹿にしてた迷信に自分が呑まれていったけど、双子の「言い伝え」だけは信じ切れなさそうじゃないです? 話をでっち上げた張本人だから、嘘だってことを彼女だけは確かに知っている。
ライオンズ妻に関しては、初めは「はいはい」「(靴を下ろすことで)気が済むのなら」って靴の迷信を笑ってたはずなのに、エディの靴を窓べりから払い落としたり2幕でナレーターに「靴の呪いは解けたか」と言われてたりで彼女の中に根を張ったと見えるのがテンション上がるなと思っています。エディの最期、彼女はちゃんと"息子"が死んだことを理解しているみたいだったのでガッツポーズしちゃった。"自分の息子"を手に入れるための嘘が誠となり"息子"を喪った、この因果をわかってるのはジェニファーだけだからね!
2幕でジョンストンママを訪問した一路さん、目からハイライトが失せてて一発で"ヤバい"やつだとわかるのすごいなと思いました。
ずたぼろになっていくミッキー、輝いててオタクは歓喜した。俳優柿澤勇人氏、心を圧し折られた人間やると輝きが十割増しになるから……(個人の感想です。)もちろんミッキーには幸せになってほしかったし気のおけない仲間へのはにかむような笑顔はめちゃくちゃ愛らしいけど、でも大事なものを一つひとつ失ってくときの柿澤さんは砕けた心のかけらが溢れてキラッキラ輝くんだよね……。
バートみたいな優しくて明るいお兄さんも見たいのはもちろん見たいのでそちらの再再演も待ってます。ホリプロちゃんよろしくね。
ママの口から真相を知ったとき、「お前を殺すこともできない」って泣いてたミッキーの顔からごとんと感情が落ちて、不穏な静かさでママの言葉を耳に入れてたのがすっごい好きです。ミッキーとは表情ひとつ動きもせず会話してたのに、ママの告白を聞きながらじわじわ顔をゆがめていくエディとの対比がサイコーだなって思った。牢に入れられての靄がかかったような生気のない姿もべりべり好きだよ。
伊礼さん演じる「ナレーター」が左頬だけを上げてにぃっと笑うたび事態が悪い方へ悪い方へ転がってくのサイコーだったでしょ。ジョンストンパパに酒瓶渡したり聖書に誓って契約したり、ここが転換点になり得たんだって嫌な汗が背を流れるのちょう楽しい。エディとリンダの逢引きを見てしまったミッキーが絶叫する後ろで、音ひとつなく哄笑してるのすっごい好きだった。歌詞を変えて何度も繰り返されるナンバー、かっこよかったですね。
1幕、ジョンストンママとライオンズ妻が揉めてる後ろで欄干にもたれて赤子をあやしてるのがこう、人間社会の枷から外れている存在っぽくてよきだなと思うんだなあ。契約のときにジョンストンママの顔の前でパチン!と指鳴らして背中を押すのも次元?位相?が別のところにある感じがした。
エディとかリンダとかママとかリチャードとか書けるうちにがんばりたいね。