脂肪乳剤について

お久しぶりです。
12月は忙しくて勉強はさぼり気味でしたが、さすがにヤバイと思い久々の勉強。

今日は脂肪乳剤について勉強していきます。

まず、脂質とは?というところからですが、脂質は「水に溶けにくく、クロロホルム、エーテル、ベンゼンなどの有機溶媒に溶けるという共通の性質を有する一群の生体分子の総称」です。
その中でも構造が一番簡単なものが脂肪酸です。

脂質は①単純脂質、②複合脂質、③誘導脂質に分類することができます。①はステロールエステルや脂溶性ビタミン、②はリン脂質や糖脂質、スフィンゴリン脂質などがあります。③については単純脂質や複合脂質を加水分解したときに生成される化合物のうち、脂溶性のものを指します。

このままいくと脂肪乳剤ではなく脂質の話で終わりそうなので、脂質は「生体膜の主成分としての役割」、「エネルギー源としての役割」、「生体内の各種化合物の生合成原料として細胞内/細胞間のシグナル伝達物質としての役割」があるということだけ覚えましょう。

ようやく脂肪乳剤を勉強に移ります。

現在、我が国で使用できる脂肪乳剤はイントラリポスのみです。多分。原料は大豆油で、大豆油トリグリセリドが主成分となっています。イントラリポスは10%と20%製剤があり、20%は50mL、100mL、250mLがあります。
脂質は9kcal/gであり、例えば20%250mLのイントラリポスのカロリーを計算しようとすると50gの大豆油が含まれているので、450kcalだ!とドヤ顔をして残念不正解と言われた病院実習の苦い思い出。
イントラリポス、というより脂肪はそのまま投与することができず、添加物を加えて乳化させる必要があるので、乳化のために添加されている卵黄レシチンと濃グリセリンのカロリーも加味しないといけません。
そして先ほどの答えは500kcalとなります。なので2kcal/mLとなります。

イントラリポスの投与速度は添付文書上には3時間以上かけて点滴静注すると記載されています。
ここで皆さん疑問に思いますよね?なんで3時間以上なんだよ、って。3時間以上なんだ!へー!は一番だめですよ。特に新人は。
投与速度が設定されている理由としては血清脂質の上昇、発熱、嘔気・嘔吐、頻脈、頻呼吸などの急性症状の発現、脂肪利用効率の低下、免疫能の低下を起こす可能性があると言われています。まあ嘔吐とかは脂質に限らず、全般的に該当しそうだけど。血清脂質の上昇については論文も出てたと思います。どの論文か忘れてしまいましたけど。
利用効率の観点で言えば、実臨床では0.1g/kg/hr以下の速度での投与が一般的になっています。
詳細は僕も勉強中なので割愛しますが、脂肪乳剤の代謝と投与速度ではアポ蛋白、リポ蛋白などが関わってきますので是非一緒に勉強しましょう!C-ⅡとかC-Ⅲって懐かしいですよね。薬剤師になった以上はこの生化学のような分野もしっかりと理解していなければならないので復習しないといけませんね。

脂肪乳剤は糖質と同じ量で約2倍のエネルギーを得ることのできる効率の良いエネルギー基質です。一般的には投与エネルギーの20~30%を脂肪で投与します。これはたぶん日本人の話だと思うのですが、海外と日本の違いも今度調べたいと思います。
必須脂肪酸欠乏の予防には1週間に50g程度の脂肪乳剤を投与すればよいとされており、病院では20%50mLの製剤が連日で処方されていると欠乏予防かなあと思ったり。

あとは乳化されており、人工脂肪粒子の大きさの平均が400nm程度で0.2μm(200nm)のフィルターを通過しないので、フィルターを通さないで投与しますし、もしフィルターを用いるのであれば1.2μmのものを使用するなどの工夫が必要です。ただ1.2μmは真菌以外の細菌の除去には無効みたいです。
薬剤師ならばイントラリポスはフィルターだめ!ではなく0.2μmのフィルターがだめ!と覚えておきましょう。

あとはCRPが高い患者や感染症の患者にはイントラリポスを投与している印象があまりありませんが、これに関しては感染症の増悪、炎症反応の増悪などが関係しているようです。冒頭で軽く触れた気がしますが、脂質は様々な生合成の原料となるので脂質メディエーターの材料となるアラキドン酸代謝されて病態を悪化させる恐れがあります。

最後にイントラリポスは脂肪のくせに禁忌の多い医薬品になります。血栓症の患者、肝障害の患者、血液凝固障害のある患者、高脂血症の患者、ケトーシスを伴った糖尿病の患者です。調剤するときは気を付けましょう。

あとはオマケで、
局所麻酔薬の中毒の治療に20%イントラリポスを使用することがあります。オペ室で使われると思うので薬剤師は99%関与しない気がしますが、原理としては脂肪乳剤がカイロミクロンに似た構造なので局所麻酔薬を中に取り込んで中毒を治療するようです。

あと薬剤師ならばイメージわくと思いますが、ロピオンやプロポフォールなども脂肪乳剤です。液体が白いのでなんとなくわかると思います。
ですので、大豆アレルギーの患者には使えないですよね。じゃあ大豆アレルギーの患者はどうしたらいいか、それは僕も知らないのでおしえてください。
大豆アレルギー関連でいえば、アムビソーム、ドキシルも添加物に大豆由来成分が含まれるので注意が必要となります。錠剤でもヴォリブリス®(アンブリセンタン)、オプスミット®(マシテンタン)、スチバーガ®(レゴラフェニブ)、ナトリックス®(インダパミド)などにも大豆レシチンが添加されているので、臨床的にどれくらい注意が必要かわかりませんが、知っておく必要はあると思います。

テキトーに書き始めたのでダラダラしているし、わかりにくい文章や構成になっていますが、あくまで自分の勉強目的なので許してください。

仕事が忙しいので勉強時間の確保は難しいですが、生化学のような基礎的な知識も増やしていきたいし、いろいろなことに疑問を持って調べていきたいです。
用法用量なんて医師も添付文書みればわかるので、薬剤師らしい視点で添付文書を読みたいし、薬剤師らしい視点で勉強していきたいですね。

あと間違ったこと書いてたら教えてください。

【参考文献】
1)イントラリポスの添付文書