造影剤アレルギー

久しぶりの勉強です。
最近は勉強のペースが落ちていて成長していませんなあ。

今日はX線造影剤にアレルギーがある場合はどうするのかについて勉強します。短めでいきたいです。

まずは造影剤ってなに?から簡単に説明します。
造影剤とは、画像診断検査をより分かりやすくするために用いる薬剤全体を意味します。CT検査やMRI検査、あとは血管造影検査などで用いられます。社会人の方だとバリウム検査などがイメージしやすいのでは?あれも造影剤を用いています。

X線造影の原理も簡単に勉強しましょう。
X線画像は物質のX線吸収率の差を利用しているので、組織間の吸収率の差が小さいと画像が見にくく診断が難しくなります。造影剤、X線だとヨード造影剤がよく使われるのかな?、ヨード造影剤はそれ自体がX線を吸収するため、ヨード造影剤が存在する部位では造影剤濃度に比例して高いコントラストを得ることができます。
X線の吸収率は原子番号の3乗に比例する!!らしいです。僕はなぜなのか知りません。
ちなみにX線吸収率は、骨>水>脂肪>空気、
組織においては、骨>筋肉>血液>脂肪>肺となっています。

次に、水溶性ヨード造影剤についてですが、これらはいずれもトリヨードベンゼン環を基本構造にもち、イオン性と非イオン性に分類されます。さらに1分子中のベンゼン環の数によりモノマー型とダイマー型に分けられます。

久々に画像載せます。
イオン性のウログラフイン®注(アミドトリゾ酸ナトリウムメグルミン)。多分イオン性。

ウログラフイン構造式

非イオン性のオムニパーク®注(イオヘキソール)。これも多分非イオン性。

オムニパーク構造式

そしてダイマー型(非イオン性)のイソビスト®注(イオトロラン)。これもきっと非イオン性。

イソビスト構造式

なぜ構造式の話をしたかというと、水溶性ヨード造影剤に安全性は浸透圧が関係しているようで、やはり生体の浸透圧に近い方がいいらしいですね。
浸透圧については割愛しますが、どれが浸透圧低いかわかりますよね。

上述した内容は僕も詳しく理解していないので、これ以上はわかりません。

では本題の造影剤アレルギーについてですが、アレルギーがあったとしても検査を行うときに造影剤を使用したいというシチュエーションはよくあります。
そんなときは、ステロイドを事前に投与します。
ステロイドって本当にどこでも出てきますよね。
American College of Radiology Manual on Contrast Media ver.10.2やEuropean Society of Urogenital Radiologyのガイドラインに記載があるのですが、下記のいずれかを実地します。

1.プレドニゾロン50mgを造影剤投与の13時間前、7時間前、および1時間前に経口投与する。

2.メチルプレドニゾロン32mgを造影剤投与の12時間前と2時間前に経口投与する。

上記1,2に、抗ヒスタミン剤を追加してもよい(ジフェンヒドラミン50mg [レスタミンコーワ] を1時間前に筋注、皮下注または経口投与)。
僕の病院ではこれに抗ヒスタミン剤のジフェンヒドラミンも造影剤投与1時間前とかに服用しているイメージです。

3.経口投与ができない場合には、デキサメタゾン7.5mg(デカドロン®など)、もしくはベタメタゾン6.5mg(リンデロン注®など)などのリン酸エステル型ステロイドを静注してもよい。その場合は、急速静注は禁忌であり、1-2時間以上かけて点滴投与が望ましい。

注意:ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンなどのコハク酸エステル型ステロイドを静注で用いると、喘息発作を誘発することがある(特にアスピリン喘息の患者)ので勧められません。経口ステロイドにはこのような危険性は少ないとされています。

ちなみに気管支喘息(活動性)などの患者にもステロイドを使うことがあります。リスク因子は他にもあったと思うのですが失念してしまったため割愛します。

まあ、調剤しててさっきみたいなステロイドが処方されてたらもう余裕で調剤できるね。

腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイドライン2018というものもあるので暇な人は読んでみてね!僕はほとんど読んでないけども。

余談ですが、α線、β線、γ線、X線、中性子線の特性覚えてます?
X線は鉛で遮蔽できます。病院で重たいチョッキ着たことあるけど、たぶんあれが鉛です。たぶん。

あと、ヨード造影剤は腎機能低下によるメトホルミンの乳酸アシドーシスのリスクを上げるため、造影剤投与後48時間はメトホルミンを服用しないようにと添付文書に記載があります。造影剤投与前の休薬については特に明確な期間の記載はありませんが、48時間くらいは休薬してるのかなあ。ここは勉強しておきます。

国試では造影剤とメトホルミンで覚えていたので、模試などでガドリニウム製剤に飛びついて失点してました。

最後にヨード造影剤は、医薬品ごとに投与経路が異なり、大半が脊髄への使用ができませんが、一部投与が可能になります。同じ医薬品でも規格が異なると脊髄への使用ができなくなるケースもあり、2014年には造影剤の誤投与で医師が起訴されています。イソビストとウログラフインの誤投与ですね。

検査で用いる医薬品は滅多に触れないため蔑ろにしがちですが、立派な医薬品ですので、しっかりと勉強していきましょう。

おしまい!

【参考文献】
・各添付文書
・日本医学放射線学会のサイト