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地方公務員が読んでおきたい書籍の紹介 吉田利宏「元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術 第4版」ダイヤモンド社、2022年  

 法律は、公務員のどんな仕事にも密接に関わってきます。大学のどの学部卒業であっても、公務員になれば法律の把握からキャリアをスタートすることになるので、とにかく法律を読まなければなりません。私も、大学は経営学部でしたが公務員で最初に配属された税務課では、上司・先輩から「まず税務六法を買って読みなさい」と言われ、仕事を教えてもらう前に法律を勉強しました(2冊で構成されていて、しかも分厚くて値段も結構高いです)。

 しかし、法律で使われる言葉や文章には独特のものが多く、小説やビジネス書を読むのとはまったく違います。しかも、六法には分かりやすい解説などありません(税務課では他に「要説住民税」も読むように言われました。これは解説書なのですが、法律に書かれていることを少し噛み砕いて書いているだけで、イラストやコラムといった工夫などはありません。結局、先輩に教えてもらうことも多くありました)。

 本書は、法律に関して、単に覚えるのではなく感覚や考え方(リーガルマインド)から学ぶことを目的としたものです。法律の条文は改正を通じて変化していくので覚えたことがいつまでも使えるわけではありませんが、感覚や考え方は一貫しているので、むしろリーガルマインドを身につけることが改正の経緯や内容などを含めて覚える近道であり、何よりも法律を活用する土台になりうるものだと思います。仕事を通じて法律に触れてきたものの、長らくこうした感覚や考え方に触れる機会のなかった私にとって、大きな学びの機会になりました(公務員になって30年も経っているので、少し恥ずかしい気持ちもありますが…)。このように、あらためて法律に触れてみようというベテラン公務員にもおすすめですし、もちろん若手公務員、さらには公務員試験で法律を学ぶ人にも有益な書籍だと思います。さすが、何度も改訂を重ねてきた書籍です。

 本書は、次の3つのパートに分かれています。
①知識編…リーガルマインドや法律の基本ルール、基礎知識、ヒエラルキー、裁判・判例について説明
②図解・読解編…複雑・難解な法律の条文を読み解くコツ、理解のための図解の方法について説明
③法律編…憲法・民法・刑法・行政法の重要なトピックを説明

 ボリュームは350ページに迫る大変重厚なものですが、文字が大きくトピックごとに細かく分けられており、しかもユーモア溢れるイラストや練習問題が付いていて、楽しく、しかもリズム良く読み進めることができました。あっという間に読み終わった、という感覚です。

公務員に関係する多くの方にこの本を勧めたいと思います(もちろん公務員以外の方にもオススメですが、このnoteの想定読者が公務員なので、そのように書いた次第です)。

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