読書note|『縄文人も恋をする!?』
山田康弘「縄文人も恋をする!?」
株式会社ビジネス社2022年3月17日発行
200ページ
タイトルは手に取りやすいように作られているだけでメインのテーマではない。この本は縄文時代についてそのようなライトかつはじめに気になるようなQ&Aをたくさん用意してくれている。著者の「縄文時代の歴史」(講談社現代新書)を先に読んでいたが、そちらは学術的な内容を含んだ入門書という感じだった。もっと簡単に、ということで作られたのがこの「縄文人も恋をする!?」である。
縄文人の服というとなんとなく絵が浮かぶが、実際には詳しくはわからないようである。再現の参考には土偶の形状や紋様がつかわれるらしい。自分を良く見せるためにおしゃれをするという感覚があったのか、実用的なものなのか。あるいは今とあまり変わらないのだろうか。服を作るのが得意な人がいたり、流行などもあったのだろうか。大人はアクセサリーのような装身具をつけていたようであるが、呪術的なものかもしれない。
どこからが味方でどこからが敵になるのだろう。そしてそれはいつから?現代の価値観で見ても何もわからない。平和で穏やかなのか、毎日が生きるか死ぬかのたたかいなのか。
生活に対する考え方、そもそもゴミという概念を持っていたのかわからない。ふと糞土師の伊沢正名さんを思い出した。人間は自然の一部であって、消費して廃棄物を出すということではなく、大きなサイクルの中にいて回転しているようなものだったかもしれない。
この他にも階層社会について、楽器について、恋愛について、死生観について、引用したい面白い話がたくさんある。縄文人は私たちと同じホモ・サピエンスなので言葉を話していたと考えられるが、文字がないのでわからないことが多い。そのために想像が膨らむ。学術的にあやしいとされる縄文関連の本も多いが、それも含めて多くの人がロマンを抱く不思議な日本列島の歴史のルーツなのだろう。