【読書メモ】 ことばのしっぽ|読売新聞生活部
めちゃくちゃいい本だった。図書館で借りたが、本棚に置きたいと思った。
読売新聞生活部「ことばのしっぽ」
中央公論新社2017年3月22日発行
256ページ
この本は読売新聞で1967年から続く人気コーナー「こどもの詩」の選集である。「こどもの詩」は中学生以下のこどもたちから寄せられた詩(小学校にあがる前の子どもは保護者の代筆)を、選者がより抜き掲載したコーナーだ。詩人でもある選者たちのユーモラスかつ詩的な評も合わせて人気となったようである。
技術で書いていないので情景がいきいきと浮かび上がってくる。子供の頃に見ていた世界がよみがえる。読んでいると、声を出して笑ったり、涙がにじんだりした。いくつか自分の感想と共に紹介したい。
日本語の持っている響きや母と子の関係性などを感じた。子供の発見は土から出る新芽のような瑞々しさがある。
ただかわいらしい。大人にいつなったのか、本当になっているのかわからないが、子供の頃の感覚というのはやはり自分の中に「あの感じ」としてなんとなくある。
むきだしのことばの面白さ。子どもの詩のリズム感。手書きの状態のものも気になるが、このようにタイプされて紙面に打ち上げられた時の響きもまた違ったよさがある。新聞と本とwebページでもそれぞれ違うかもしれない。
このnoteでどれを取り上げるか難しかった。たくさんの詩があり、心の琴線に触れるのは人それぞれ違いそうだ。詩人の方が評になぜか涙がにじんだと書かれている詩と違う詩で自分はそのように感じたりもしたので、読む人によって様々な気がする。今回は10以上ピックアップした中からさらにいくつかしぼったが、たくさんのものを取りこぼした気がする。
子どもの詩をもっと読んでみたいと思った。詩に限らず、絵やその他いろいろな作り出すものを見てみたいと思った。大事なことを思い出させてくれるのではない。不必要なことを忘れさせてくれるのだと思った。子供だけがすごいのではない。人間はすごい。窮屈な何かを自ら身につけて大人になってしまう。子どもの作品を色々と追いかけてみたいと思う読書体験だった。