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わたしは自分の脳みそを殺した

わたしがこの世に生まれて以来、ずっとわたしの脳みそがうるさかった
わたしの行動を支配し
わたしの記憶を支配し
わたしのこころを支配し
わたしの人生を支配し
「わたし」のすべてを支配していた

わたしはこの独裁者を誰かが殺してくれることをずっと望んでいた
誰かがわたしの頭を撃ち抜いてくれさえすればわたしは自由になれると思っていた
でも誰もわたしに銃を向けてはくれなかった

脳みそがわたしではないことは分かっていた
嫌いなわたしも好きなわたしも
許せないわたしも許せるわたしも
すべて、すべてわたし自身の脳みそが作り出したプログラムに過ぎない
そのプログラムから抜け出すことができなかった

わたしはこの独裁者を誰かが殺してくれることをずっと祈っていた
誰かがわたしの頭を切り裂いてくれさえすればわたしは幸福になれると信じていた
でも誰もわたしにナイフを向けてはくれなかった

絶望だった
わたしは一生このまま
自分を嫌いなまま
死んでいくのか

それすら脳みそのプログラムだと気が付いた
わたしは誰に求めなくとも
この手の銃とナイフで彼を殺してしまえることに気が付いた
わたしは彼に銃を向け躊躇いもなく

さよなら故郷
さよなら未来
さよなら不安
さよなら希望
さよなら偽物
さよなら仮面
さよなら、わたしだった生臭い獣

あるのは今
あるのはわたしのハートだけ

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