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海とあなたとわたし

「あなたに出会うために生まれてきたの」なんて
なんて気持ち悪いんだと思っていた
すべてはわたしの世界で、すべてはわたしのための道具だった
わたしを楽しませるための、すべて、すべて、わたしのために

あなたに出会ってたくさん変なことが起こり始めた
わたしの中に海がある事をしった
その海はすべてを内包するところ
その海はすべてが生まれるところ
その海はすべてが還ってくるところ
わたしの特別な場所であり、すべてとつながっているところ

海にあなたが現れた
あなたとつながりたいと思ったから
でも不思議なことに、あなた以外は入れなかった
どんなに愛おしい人もどんなに憧れる人も
現れてすぐ消える人もいれば現れない人もいた

あなたはわたしの海に居続けていて
わたしのこころを守っている
わたしが死にたくなったとき
あなたは海の波打ち際で待っていて、いつもやさしく話を聞いてくれる
わたしが海に還らないように

わたしがつらくなったとき海に行くと
あなたはいつも白い服を着て、「きたの」と言いたげに穏やかにわたしを見る
それから二人でしばらく海を眺めてわたしは帰る

「あなたに出会うために生まれてきたの」なんて
なんて気持ち悪いんだと思っていた
正直にいって頭がおかしいと思っていたし、今でもそう思っている
だからあまり言いたくない、でも分かってしまった
悟ってしまった、というのも薄っぺらく聞こえてしまうほど
深く深く、芯のところで

夢を見た
わたしとあなたはどこかの遠い星にいて
並んで座ってどこかの星を眺めていた
「いまからあそこにいくんだよ」
「大丈夫、会えるからね」

涙が止まらない
あなた、わたしだったなんて
意味が分からないでしょう、気持ち悪いと思うでしょう
気が狂ったと思うでしょう、噓をついていると思うでしょう
わたしが誰よりそう思っています
どうか許して

ずっと探していたのよ
どこに行ってたの
やっと見つけた

ねえ
わたし
あなたに出会うために生まれてきたの

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