『現代思想 2019年6月号 特集=加速主義 資本主義の疾走、未来への〈脱出〉』『はじめての加速主義』という分かりやすい新書が読みたい(環境研究)
一夜にして有名になった宮台真司氏は、加速主義を主張している。今の日本という枠内で単純に考えると、30年前から企業も変わることなく、国民も切迫感はなく、じわじわと悪くなるのを他人事のように考えている。ならば、さらにテクノロジーの力で崩壊を加速させて、未知の未来に行き着いた方がいい、という考え方を加速主義という。
しかし、加速し行き着いた後がどうなっていくのか、どこに落ち着くと想定しているのかなど、わからないことだらけなのが、私にとっての加速主義だ。
そこで、哲学者はどう考えているのかを知るために本書を読んでみた。『加速主義の政治的可能性と哲学的射程』と題し、以下のようなことが語られている。
1)加速主義には、ニック・ランドを中心とする右派加速主義、ニック・スルニチェクやアレックス・ウィリアムズの左派加速主義がある。
2)加速主義がマルクス主義と違う点は、抵抗の論理を捨て、無効性を自覚することからはじめていることだ。
3)加速主義者は旧来的な左派、右派という区別が無効になるようなリアリティがある。あまりマッピングにこだわる必要はない。
4)基本的に加速主義は、ドゥルーズ+ガダリ的な表現では脱領土化、脱コード化(法律や、慣習など、人を規制するもの)を押し進めるということだ。
結局、加速主義とは何かについては、まとまっておらず、加速主義者が「今までと同じでいいのか、新しい未来を作れるのか」と問題提起している段階なのか、それとも、ドゥルーズ+ガダリの哲学を押し進めることで、未知の未来を引き寄せようとしているのか、この本を通じては断片的にしか理解できなかった。
宮台真司氏の事件がなければ知ることもなかった加速主義だが、そのうちわかりやすい新書が出たら読んでみよう。この本は、哲学者向けの本なので、私には難しすぎる。
Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。