『日本とユダヤの古代史&世界史 - 縄文・神話から続く日本建国の真実』日本の古代は多文化共生だった(日本の歴史)
日本人はルーツが不明瞭なことから、そのルーツを多民族に求める論説がある。その一つが、日本人の祖先はユダヤ人だという「日猶同祖論」だ。最近のDNAの研究から、日本人の最も古い祖先は縄文人だということが確定した今、同祖論は誤りだいうのが、本書のスタンスだ。
大陸から多くの渡来人がこの列島に渡ってきたことは明らかだ。そのなかにオリエンタル方面からの来訪者が、縄文人と混血したという「日ユ同化論」が、本書の主張だ。
著者の茂木誠氏は歴史の専門家で保守系の思想をもつ。対談の相手の田中英道氏は、フォルモロジーの専門家だ。フォルモロジーとは、歴史を文献ではなく、カタチから見る学問で、カタチには意味があるという視点から、モノや美術作品を解析している。
日本という島国にユダヤ人が訪れたのは、5波あるとしている。
1波)出エジプトのとき世界に散った。その一部がスサノオとその一族という。(紀元前13世紀)
2波)北イスラエル王国の10支族の一部が渡来(紀元前722年)
3波)秦の始皇帝の名を受けユダヤ系徐福が数千連れて渡来(紀元前221年)
4波)応神天皇時代に、弓月国からユダヤ系秦氏が2万人の手段で渡来(394年頃)
5波)ネストリウス派はユダヤ教の改宗派で、蘇我氏はユダヤ系
このような科学的に証明できないことを信じる人もいるため、本書はベストセラーになった。しかし、日本人が今のように単一民族として認識されてきたのは鎌倉時代だといわれるように、その前は、いろいろな人が渡来人として日本に来ていたことだけは確かだ。そのなかに、シルクロードの商人であるソグド人(イラン系)や流浪の民であるユダヤ系の血を引いた人もいただろう。
今後の日本を考えると、古代の日本は多文化共生社会であったことを認識することは重要だ。そういう意味で、この手の本も意味がある。
Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。