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『銀翼のアルチザン 中島飛行機技師長・小山悌物語』変人、糸川英夫の上司

 ノンフィクション・ノベルとは、歴史上の事実やできごとを作家の想像力でそれらに肉づけし、より臨場感をもたせて描き出した小説を指す。本書は中島飛行機で技師長を勤めた小山悌氏を描いたものだ。

 小山氏は、戦後、国家資格の林業技術師を取得し、東大農学部で農学博士となり、林野庁から『チェンソーによる伐木造材作業並びに集材機作業の功程に関する研究』を出版している。しかし、「中島の技術者は国家の存亡ということで必死に飛行機を設計し生産してきた。しかし、その飛行機により尊い若者の命が奪われたことは間違いのない事実だ」と、中島飛行機時代の取材を一切拒み、回顧録を残すことはなかった。

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