『成長の限界―ローマ・クラブ「人類の危機」レポート』ローマクラブの設立者は、オリベッティ社の副社長であったペッチェイ氏(環境研究)
存在は知っていても読んだことがなかった1冊だ。ローマクラブの設立者は、オリベッティ社の副社長であったペッチェイ氏だという。彼の呼びかけに呼応し、OECD科学局長のキング氏、スイス・バツテル研究所長のティーマン氏、MIT教授のウィルソン氏が参加し、2、3ヶ月に1回のペースで委員会が行われた。
ローマクラブからMTのメドウズ助教授に委託したレポートにより、地球が無限であることを前提としたような経済と人口の成長のやり方を改める必要性が痛感されることになった。MITのプロジェクトチームは、アメリカの公害、資源、行政、人口、資料、農業、トルコやドイツの農業、イランとインドの人口、ドイツの資源の専門家がメンバーだ。
手段はシステム工学のシステム・ダイナミクスが使われた。この方法の基礎は、いかなるシステムもその構造(構成要素間の多くの、循環系で、からみあったときに、時間の遅れを含んだ関係)は、システムの行動を決定する上で、個々の構成要素とまったく同様に重要であると考える。これは哲学の構造主義と同じ考え方だ。システム・ダイナミクスは、MITのJ.W.Forresterが提案したシュミュレーション技法だ。
5つの基本手的な数量または水準は、人口、資本、食料、天然資源、汚染は、未検討の他の相互関係や、フィードバック・ループによって結ばれている。全体図は、図26「世界モデル」として示されている。
1970年代初頭にMITが示したローマクラブのネガティブな終末論的なレポートに対し、新マルサス主義的見解と一刀両断したのは、ハドソン研究所のハーマン・カーンだ。しかし、ローマ・クラブの「有機的成長」の名のもとに、公害防止と資源節約に適切な考慮を払う成長を肯定し、経済成長はほとんどすべての国にとって、高度に望ましいゴールである、という結論は、カーンの意見と根本的に変わらない。
それにしても、オリベッティ社の副社長であるペッチェイ氏は、自社の未来予測も行うべきだった。現在オリベッティ社はテレコム・イタリアに買収されて傘下に入っている。
Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。