『脳の中身が見えてきた』1958年のパーセプトロンがディープラーニングのルーツ(環境研究、未来予測)
「人間とは何か」を勉強していくと必然的にAIの原理から甘利俊一氏に行き着いた。本書では、21世紀の脳科学の課題を「人間とかいったい何なのか」という考えを発展させ、個別科学を追求するだけでなく、それらを融合すべきだとしている。理化学研究所の脳科学総合研究センターでは、「脳を知る」「脳を守る」「脳を創る」「脳を育む」の4つのアプローチで研究され、「脳を創る」という領域で、いまのコンピュータにはない、脳型のコンピュータ技術の開発しようとしているのが甘利俊一氏とのこと。
本書では、アメリカの心理学者フランク・ローゼンブラッド氏によって考案されたアルゴリズムであるパーセプトロン(perceptron)が紹介されている。パーセプトロンは三層モデルで、最初の感覚層に流れた情報は、次の連合層の多数神経細胞にばらまかれ、最後に識別を行う応用層に先生がいて、答えが間違っていれば、連合層からの情報の重みを変えるという機械学習のモデルとなっている。ローゼンブラッド氏は大脳の配線をヒントにこのモデルを作った。そしてこのモデルが、以下の発展を経て、現在のディープラーニングなったのである。
連合層に学習能力をビルトインしたバックプロパゲーション(誤差逆伝播法)を提唱したのが、甘利俊一氏だ。本書では情報を一方向に流すパーセプトロンだけでなく、脳における神経細胞同士の相互結合である連想記憶などの研究成果なども紹介されている。専門家でないと分かりにくい分野だが、本書によって、1958年にローゼンブラッド氏により発表されたひとつのアルゴリズムが、現在のディープラーニングのルーツになったことを知ることができた。
Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。