『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』哲学用語辞典/図鑑は本棚に1冊は置いて起きたい(人間学)
ある時期、哲学を学びやすくするための哲学用語事典/図鑑がいくつかの出版社から出版されたようだ。田中正人氏のこの本以外にも小川仁志氏が書いた「超訳哲学用語事典」(2011)「哲学用語事典」(2019)なども読んでみたら、結果的に面白いことに気がついた。田中正人氏の用語事典は、用語を忠実に図とし、分かりやすくしようとしているが、小川仁志氏の辞書は、正確性より特徴を強調することで分かりやすくしている。要するに、分かりやすさ、というものは、難しいことを難しいまま図などを使い分かりやすくする方法と、難しいことを噛み砕き、メタファーやポンチ絵などを使い特徴化させて把握させることから分かりやすくする方法の2つのアプローチがあるということ。個人的には後者の方を好むが、いずれにしても、哲学事典は本棚に置いておきたい1冊だ。
例えば、田中正人氏はルサンチマンを、「弱者が、力ではかなわない強者のことを悪に仕立て上げ、自分を納得させている真理をニーチェはルサンチマンと呼びます。たとえば貧しい人がお金もちを悪だとみなすことによって精神的に優位に経とうとすることです。」と解説し、小川仁志氏は、「怨恨や、妬みと訳されることが多いのですが、哲学では通常の意味とは少し異なります。もともとはニーチェが哲学用語として用いました。ニーチェによると、弱者は実際に強者にかなわないことから、想像上で復習しようとします。その際に抱く感情をルサンチマンと呼んだのです。その意味では、怨念よいうよりも、負け惜しみに近いのではないでしょうか。」と解説している。後者の方が、一旦著者の頭の中でこなれた上のエクリチュールではないか、と。
このような哲学用語事典があった上で、「現代思想入門」(千葉哲也)のようなポスト構造主義を少し深く解説したものを読む方が、手強い哲学者そのものが書いた本を読むよりも俯瞰的に理解できる。私のように専門家でないものは、俯瞰的に理解するレベルで十分ではないかと勝手に捉えている。
Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。