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ロジカル夫が自己理解ノートを始めた。

夫と私は、会話のスタイルが全然違う。

彼はとても素直な人なのだけれど、とてもロジカルな人だ。
会話はいつも事実をベースに組み立てていくからか簡潔でわかりやすい。

一方の私は、事実よりも自分がどう感じたか、どう思ったかを話しがち。
「今日はこんな気持ちになった」とか、「あの出来事はこう感じた」とか、感覚や感情をよく持ち出す。

だからか夫は私の些細な雑談でも整理整頓したがるので、ただ聞いてほしいだけの時は「ラジオのように聞き流してください」と前置きを言ってから喋っている。
夫にしてみれば、私の話しはだいぶとっちらかるから取り扱いが難しいらしい。(女子の話は聞くの大変だよね)



そんな夫が突然、「俺もジャーナリング始めようかな」と言い出した。

「え!急にどうしたの?」と聞くと、彼は少し考えてからこう言った。

「不妊治療が始まって、やっぱりメンタルも体もしんどそうだなって思ったんだよね。俺にできることは限られてるけど、少なくとも俺自身の状態をちゃんと安定させておけば、夫婦生活もうまくいくんじゃないかなって。」

その言葉を聞いて、私はとても驚いた。
たしかに、治療が進むにつれて私は自分の気持ちや体のことでいっぱいいっぱいになっていた。彼がそれをどう見ているのか、深く考えたことはなかったかもしれない。胸がぎゅうっとなる。

そして夫は3冊のジャーナリングの本を取り出し、ニヤッと笑った。

「どうせやるならちゃんとやりたいからさ。いろんな方法を落とし込んでおいたほうが自分に合うやり方が見つかるしね」と。

夫は物事に取り組むとき、最初から最後まで抜け漏れなく丁寧に細かく進めるタイプ。
かたや私はなんの知識もないくせにとりあえずやってみるっぺタイプ。

私の場合、ジャーナリングとは名ばかりで、ノートを気まぐれに開いて思いついたことをつらつら書くだけ。夫はすでに本まで買ってジャーナリングの世界を深く掘り下げているし、夫のやり方のほうが百万倍くらいちゃんとしている。焦った私は「ノートは無印がいいんじゃない?」とあっさい知識を披露した。



夫はパラパラと本をめくりながら、「感情を一つ一つ言語化するって一番難しいことなのかもね」と言った。 

「秋元康も「好きなことは言語化できない」みたいなこと言ってたもんなぁ」

確かに、感情って完全に言葉で表すのは難しい。
でも、完全にできなくてもいいんだと思う。
自分たちの言葉で、その感情に少しでも近づくような言葉を見つけていく。

私たちはまだまだ新米夫婦で、いろんなことを乗り越えていかなければならない。その時に相手に伝える言葉をちゃんと自分自身で明確にできたら。

感情を言葉にすることは、きっと終わりのない旅みたいなものなのかもしれない。
夫と一緒に少しずつその旅を進めるのも悪くない。
自分たちの言葉で、心の中を少しずつ形にしていけたらいいなと思う。




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