商人のDQ3【38】ピラミッド
ピラミッドと言えば、あのBGM。おそらくテレビゲーム初のアラビア音階の曲かもしれません。
お金に厳しいDQ3では、ロマリアのすぐ北にあるフリウリ村で仲間入りした村娘マリカが「アバカム&レムオルを初期習得」していて。さらにモスマン帝国が通せんぼをしていたため、ここまで後回しになっていました。
「アバカムならわしも使えるし、インパスの目もあるぞい」
ピラミッドの正面から少し入った、行き止まりに並ぶ三つの宝箱を指差して。アミダおばばが右から順に空っぽ、人食い箱、人食い箱と中身を言い当てます。視界内の宝箱を一度に全部消費MP0で透視して、さらにレミラーマの何かある場所が光って見える効果まで持ち合わせています。亀の甲より、年の功。
「お宝はありまちぇんし、ヒミコしゃんたちはどこ行ったんでちか?」
領地からの収入で、ある程度お金には困らなくなりましたが。遺跡と言えばお宝と、期待してたシャルロッテがガッカリしています。
ピラミッドには色んな仕掛けがあるらしいぜ。
既にピラミッドは多くの泥棒に荒らされたという。
「ふむ、多少はうわさで聞いておったが。これは聞きしに勝る迷宮じゃな」
元武闘家で、建築家のアントニオじいさんもピラミッドの仕掛けと罠の多さに感嘆の声を漏らします。
「ヒミコは、ピラミッドへ来るのは初めてじゃないか?」
どうして道に迷わないのかと、クワンダが疑問に思っていると。
「おそらく、死者の霊を呼び出して情報を得たのじゃろう」
アミダおばばが、自分がヒミコの立場ならそうするだろうと。宿敵の行動を推理します。
「しょ〜がないでちね。あたりをシラミつぶしに調べまちゅか?」
シャルロッテが、やれやれとため息をつきながら廊下を歩き出すと。広間の床が突然開いて、落とし穴に落ちてしまいました。
「ひょえぇぇ!?」
「まったく、世話の焼ける」
間抜けな叫び声を上げながら落ちてゆくシャルロッテを見て、クワンダが同じ穴から下の階に飛び降ります。アントニオじいさんもそれに続き、アミダおばばは魔法のほうきにまたがって宙に浮きながら降りていきます。
「ひゅ〜っ、しぬかとおもったでち」
ピラミッドの地下一階で、頭から砂に突っ込んだシャルロッテが犬か猫のように身体をブルブルさせて、砂を落としています。あたりは薄暗く、盗掘者のものと思われる人骨が散らばっています。
「おい、落としたぞ」
クワンダが、シャルロッテの肩掛けカバンから飛び出した山彦の笛を拾い上げて差し出します。すると、どうしたことでしょう。
「宝石が、ピカピカでち!」
なんと、山彦の笛についた飾りのひとつアメジストが淡く光っているではありませんか。この笛、原作と違ってオーブの有無だけでなく種類まで知らせてくれる優れものです。
「ほほう、面白い笛じゃな。これも古代アリアハンの遺産か」
「これはオーブの反応じゃな。シャルロッテよ、吹いてみるがよい」
アントニオじいさんやアミダおばばも見守る中で、シャルロッテが山彦の笛を吹いてみると。通路の北の方から、山彦が返ってきました。あとなんか隅っこの方でヘビがクネクネ踊ってます。蛇使いの笛?
なお、ピラミッドにオーブがあるかも?というネタはいくつか前例があるみたいです。小説版やCDシアター。
「ヒミコしゃんの狙いは、オーブでちたか!」
「どれ、今明かりをつけよう。レミーラ!!」
おそらく先行しているだろう、ヒミコの後を追うべく。おばばが呪文で明かりをつけようとしますが。なぜか明るくなりません。
気を付けなさい! ピラミッドには呪文の効かぬ場所があるそうな。
「これがウワサの呪文封じか」
建築家として以前からピラミッドに関心を持ち、いろいろ調べていたアントニオじいさんが表情を険しくします。
「呪文が使えぬフロアか。となると、ここからはおぬしが頼りじゃな」
おばばが見る中、クワンダが普通のランプに火を灯します。ここから頼りにできるのは、冒険者の勘と経験。その勘が、さっそくクワンダに危険を知らせます。
「来るぞ!」
ヒミコの命令か、はたまたピラミッドの元からの守護者か。マミーたちがあやしいかげを伴って、シャルロッテたち4人を取り囲みました。
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