商人のDQ3【9】夢を渡るおてんば娘
この世界のロマリアは、ポンペイのように火山の噴火で廃墟になってて、半島の北東部に「フリウリ村」。さらに北上して、元のドラクエ3のカザーブ村のあたりに「城塞都市カルカス」があります。元ネタはカルカソンヌ。
「えええええ!?」
場所は変わって、アリアハン。バラモスの呪いのせいで身体が弱く、冒険者のサポート役に回って古い文献の研究を続けるオルテガの息子アッシュの夢枕に、シャルロッテとクワンダが現れます。一度も会ったことがないはずの村娘マリカも一緒です。
「かくかくしかじかで、シャルロッテちゃん一行は魔法使いマリカしゃんを仲間に加え、フリウリ村の北にある城塞都市カルカスに来てまちゅ」
「いちいちアリアハンに戻らず連絡できるなんて『夢渡り』は便利だな」
シャルロッテは、夢の中でアッシュ少年にこれまでの冒険を語ります。
「あたしは農民より、商人にでもなった方がいいって思ってたの。母さんも同じ考えで、そこへちょうどあんたたちが通りかかったから」
冒険者は定職を持たない、やくざ者。けれど娘が商人になって、村の名物を広めてくれるならと。マリカの母は、快く旅立ちを認めてくれました。
「分かりました、王様とルイーダの酒場の冒険者さんたちには僕から伝えておきます。マリカさんも、ルイーダの酒場の名簿に登録してもらいますね」
「よろしくね、アッシュ」
翌朝、アッシュの母親がルイーダの酒場に連絡して。冒険者に背負われて酒場にやってきたアッシュ少年が、ルイーダに夢の話をします。
「古代アリアハンには、遠く離れた者同士で会話のできる手段があったんです。だから夢物語みたいですけど、昨日の夢は本当のことだと思います」
「ええっと…フリウリ村のマリカさんね?実は私も、昨夜同じ夢を見たの」
アッシュひとりが夢を見ただけだと、他の人に信じてもらえないかもしれない。クワンダが懸念を示したので、マリカはアッシュとアリアハン国王の夢枕にも立って事情を説明しました。
「クワンダが苦戦するほどの猛者、盗賊カンダタか。強さだけなら各国の国家勇者にも匹敵するというが、まさか我が国のオルテガでもあるまいし」
マリカが言うには、身体から精神が抜け出た「アバター体」の状態では、距離を無視して他人の夢に現れることもできる。これを夢渡りと呼びます。さらにアバター体では、各自の望む姿に変身することまでできます。「へんげのつえ」の立場がありません。
「ロマリア遺跡には、我が国も冒険者に依頼して調査隊を派遣しよう」
高度な文明を誇ったロマリアの遺産を得られれば、魔王軍との戦いを有利にする何らかの技術が得られるかもしれません。幸い、道中の難関となるオリハルコン製キラーマシンへの対処法も夢の中で聞いています。
「夢を渡るチカラは、本来すべての夢を見る生き物に備わっている…か」
夢の中に現れた盗賊カンダタの正体は、もしや行方不明の勇者オルテガの変身した姿ではないか。そんな考えを頭から追い払いつつ、アリアハン王は今後の対応を思案します。
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