マーダーミステリー制作で心がけていること① プレイヤーの能力の高さに甘えない
自分にも当てはまることをこう言うのは恐縮なんですけど、マーダーミステリーで遊ぶ人たちって本当に優秀だと思ってます。
静かに長い文書を読み、それを解釈できる
読んだ設定をもとにキャラクターを表現できる
感情移入できる豊かな想像力を持つ
情報を元に思考を伸ばせる地頭の良さを持つ
ゲームを円滑に進めるためのコミュニケーション能力を持つ
開始までに遅刻しない
まあまあ高い参加費用を払える財力を持つ(オフライン有償公演参加者が特に)
マナーが良い、礼儀正しい(主観だけど)
※念の為、これらに当てはまらないからといってマーダーミステリーを遊ぶな、という話ではありません。かく言う僕も、文を読むのは決して得意ではありません。
「民度が高い」と一言で言い表せるのかと思います。これに全て当てはまるのは、日本人口の何%にあてはまるのだろうかと。
制作する上で心がけていることとして、いくらマーダーミステリーのプレイヤーの方たちが優秀とはいえ、それにおんぶにだっこで作り込みを甘くしてはいけないのかなと考えています。
例えば、基本的なことですが「ルール説明をしっかりする」というのはとても大事なことだと考えています。いくら会話によって成り立つゲームとはいえ、マーダーミステリーはキャラクターごとの非対称性がある以上、ルールの解釈違いによる衝突のリスクは常にあるものと考えており、注意深くなるところです。
何年か前に、とあるマーダーミステリーでルールに説明がされていない部分でGMがもたらした裁定にトラブルがあり、制作サイドとでいろいろざわざわした経緯を見たことがあるのですが、これは「常識的に考えればアウトVSルールに書いてないことなのだからセーフ」という構図だったのかなと思っています。GMとプレイヤー間、またプレイヤー同士においても発生しうるであろう、こういったトラブルのリスクは起きたときに大変なので、できるだけ排除したいところです。
話はそれますが似た話として、映画館での上映前、注意事項として「前の席を蹴らないでください」って言われるんですけど、これには「そんなやつおらへんやろ」となるのが大半だと思うのですが、それでもごく一部の客のそういった行動の悪影響のリスクを考え、やらざるを得ないと判断されているのだと思います。もっとも、この注意書きはトラブルの際に「いや〜当館としては注意してるんですけどね〜」という体裁を持つためのもの、という背景もあるわけですが。
また、ゲーム面においては、推理するための前提条件やヒントとなる情報は「ちょっと出し過ぎかな?」くらいで丁度良いのかなと。プレイヤーは頭がいいだろうから、これくらいの発想の飛躍はあってもいいだろう、とは考えないようにしています。真相にたどり着けなくても「その発想は無理」ではなく「なるほど!」と思ってもらえるのが良いゲームなのかなと思います。
とはいえ、何から何まで全てを説明するというのは現実的には不可能です。あまりに冗長になるのも問題ですので、逆に端折るところは端折らなければなりません。そこのさじ加減はなかなか難しく、永遠の課題ですね。
マーダーミステリーのプレイヤーの方たちは本当に素晴らしい方ばかりで、僕の作品を遊んでいただけることは本当にありがたく、トラブルらしい何かが起こったことは今のところ耳に入っておりません。しかしそこに甘えず、どんな人でも楽しめるだろう作品を出していけるよう、心がけていきたいと思います。
今回は以上です。