
フリーランスのライターが締切を絶対に守るためにやっていること
2015年1月に開業届を出して個人事業主になったので、2025年でフリーランスになって10年経ちました。おぉ……生き延びた……なにより。
どうにか生き延びた要因のひとつに、「締切をちゃんと守る」があると思うんです。納品物のクオリティを保つのは大前提として、約束した締切を守らないのは信用を失うことになるじゃないですか。
そんなの怖い!失いたくない! という小心者なので、締切だけは守ろうとやっておりました。去年1年間で170本書いた原稿も、それ以前の原稿も、ぜんぶ締切を守ったはずだし、だいたい前倒しで納品しているはず。
(「はず」と書いているのは、こちらが意図せず遅れてしまい、それを知らないままである可能性もあるため。「締切をちゃんと守った」と断言していいのは依頼主のみ)
最近「どうやって締切を守ってるんですか?」と聞かれることもたまにあり、10年の区切りとして、締切やタスク管理でやっていることをまとめました。なにかの参考になれば幸いです。
受信箱を常に空にする
Gmailは常に受信箱を空(Inbox Zero)にするようにしています。

届いたメールに返信をしたら、すぐアーカイブしています。つまり、受信箱に残っているメールは未処理のものなわけです。これで「あ、このメールまだ返信してなかった」というのがすぐわかる。
届いたメールは、フィルタ機能によって自動的にラベルが付くように設定しています。デイリーポータルZ関連のメールが届いたらオレンジの「DPZ」ってラベルがつく、みたいな感じ。なので、アーカイブしたあとでDPZ関連のメールを確認したかったら「DPZ」のラベルを見ればいい。
メールのなかには「○日に処理するもの(請求関連とか)」もあるじゃないですか。そういうときはスヌーズ機能で「○日の8:00」に再度メールを受信するようにします。これで受信箱から一旦消えます。
なにか作業をお願いされたときも、「承知しました!」と返信してアーカイブ。作業の内容はタスク管理ツールに追加(後述)して、以後はそっちを見ます。
こうすることで、受信箱がゼロ=クライアントに対してアクションすることは今はない、という状態になります。すっきり。
締切はGoogle Todo、タスクはTodoistで管理
これは以前noteにも書いたやり方を今もやっています。
Google Todoには締切の予定だけを入れます。Google TodoはGoogleカレンダーにタスク一覧を表示できるので、「締切一覧」をバーッと確認できる。Googleカレンダーに入れた予定と同じように、カレンダー上をドラッグで移動できるので調整も楽。
TodoistにもGoogleカレンダーと連携する機能はありますが、そうすると日々のタスクと予定が混ざってグチャグチャになるので、タスク管理ツールを分けているんですね。
で、Todoistのほうには1つの原稿辺り3~4個のタスクを入れます。
・[媒体] [原稿名] 文字起こし
・[媒体] [原稿名] 構成
・[媒体] [原稿名] 執筆
・[媒体] [原稿名] 推敲→入稿
1つの原稿を書くのもいろんな段階があるので、段階毎にタスクを分けてます。これを他のタスクの量を見ながら「文字起こしは○日、構成と執筆は△日」「この日は取材がないから1日で全部やる」みたいに振り分けます。
これを向こう2週間くらいの締切に対して埋めて、日々、進捗を踏まえて更新します。「1個できなかったらこの日に回そう」「予定がキャンセルされたからアレを前に倒そう」など。タスクは生き物なので。
ちなみに文字起こしを外注するときは、文字起こしの納品日に「文字起こし届いた?」というタスクが入ってます(心配性過ぎる)
1日の時間をどう使うか
タスクを振り分ける際に意識しているのは、1日の時間をどう使うか。自分の場合はなんとなくですが、「午前」「午後1」「午後2」という3ブロックにざっくりわけて考えています。それぞれ3時間くらい。忙しいときは「夜」「休日午後」というブロックが増えますが、基本的に平日19時で仕事は終わりです。
僕が原稿を書くスピードは、だいたい1時間1000字くらい。じりじり考えながら書く代わりに、推敲はあまり手を加えません。「最初はパッと書いてじっくり推敲する」という方もいますが、それと逆。
なので、1ブロックでだいたい3000字前後の原稿ができる計算。難易度で前後はしますが、自分のペースをつかんでいると「今日で10000字書く!!!」みたいな無理な予定を入れずに済みます。
この辺りのスピード感は、過去に「Toggl Track」というタイムトラッキングツールで測りました。一度把握しておくとよいですよ。
あと、自分がPCで何にどれくらい時間を使っているかは、RescueTimeで測ってみるのもよいです。「このアプリに○時間使ってる」というのがグラフでわかります。
カレンダーに移動時間を入れる
時間の使い方といえば、人によく驚かれるのが家から取材場所までの移動時間もカレンダーに入れていること。みんな入れてない……?

Googleマップなら経路検索したあとに「カレンダーに追加」で追加可能。僕はYahoo!乗換案内を使っているので、経路検索後に「予定を共有」→「iOS標準カレンダーに追加」で追加してます。
家を出る時間がハッキリわかるので、それも混みでタスクを入れられるし、当日は「その時間まで終わらせよう」と意識できるのでよいです。逆に入れないと不安。
取材先でもらった名刺をデスクに並べておく
地味だけど効くのがこれ。取材が終わって帰ってきたら、もらった名刺をEightに取り込んだあと、取材毎にまとめてデスクに並べてます。で、原稿を書き終わったらその取材先の名刺をしまう。リアルタスクリストです。
常に目に入るところにあるので、「次はあれを書かないと〜」と意識付けができます。立て込んでいる時期は、デスクの上が七並べみたいになります。
締切は前倒しで考えて動く
基本的に締切は前倒しで設定します。「15日」だったら、13日か14日には完成させておきたい。世の中何があるかわからないからです。自分が熱を出すかもしれないし、家族が体調を崩すかもしれないし、PCが火を噴くかもしれない。
お仕事の打診を受けたときは、これも加味してスケジュールを考えて、「ご相談ですが2日後ろ倒しになっても大丈夫でしょうか……?」など、正直に相談します。ここで見栄を張っても迷惑をかけるだけなので(たまに「ん〜〜〜〜わっかりました〜〜〜〜!!!」ってときもありますけど!)
ちなみに……ちょっと恐る恐る言いますが、1人で仕事をしている以上、どうやっても締切より前倒しで入稿できるはずなんです。A、B、Cという仕事がすべて「15日締切」だったら、先にAを終わらせて、次はB、最後にCに手を付けることになるじゃないですか。Cを15日まで完成させるとなると、Aは絶対「15日より前」にできるはずなんです。
ただ、「なんだあの人、2日前倒しって言って1日早く入稿してきたじゃない」ということになり(実際そういうこともよくある)、「もっと納期を縮めても大丈夫なんじゃない?」となりそうなので、早く終わったときは「他のお仕事との兼ね合いで思ったより早くできました!」的なことを添えたりします。心配性で恐縮です。
月末にいつもやること
タスク管理とはちょっと離れるかもしれないですが、月末は請求書などの事務処理が立て込む時期。他にもやることがあるので、Todoistには「毎月月末」の繰り返しタスクで以下を設定しています。
・請求書を出す(各媒体ごと)
・ボイスレコーダーの整理
・今月の仕事まとめをnoteに書く
請求書は「報酬をもらうためのチケット」なので、迅速に送ります。今月の金額が決定した時点で、空いた時間に作って用意していたりします。
また取材を続けていたらボイスレコーダーの容量がいっぱいになって取材中に止まったことがあるので、月末になったら過去2ヵ月より前の録音データは消すようにしています。PCに取り込んでいるので全消去してもいいんですけど、万が一のためのバックアップで残していたり。撮影をする人はSDカードの整理をこのタイミングでするといいと思います。
「今月の仕事まとめ」はnoteに書いている【月報】です。
Web記事は公開と同時にSNSでシェアしているんですが、SNSはそのまま流れてしまう(フロー)なので、noteに仕事をしたことを蓄積(ストック)するようにしています。2019年から始めたので、もう5年も続いています。
「あまり仕事実績をアピールすると『あの人忙しそうだな』って敬遠されないですか?」と言われたことがありますが、今のところ継続してお仕事をいただいているので、ありがたい限りです。「毎月働いている」のも、仕事を依頼するうえで信頼を得られる条件なのかもしれません。
そうだ、noteとは別に、スプレッドシートにも記録を取っています「入稿日」「媒体名」「原稿タイトル」「ギャランティ」「文字数」を入稿のたびに記録しているので、1年間の集計をするときに「2024年は170記事・約598,000字」とすぐにわかりますし、ギャランティの合計を本数で割ると自分の単価がわかります。単価は見積の際に使うことになるので、把握しておいた方が◎。
参考図書
いろいろ書いてきましたが、最後に参考図書を。
タスク管理とか毎日の習慣づけとか、とりあえずこれ1冊読めばだいたい書いてあります。「ライフハック」って言葉はネットではすっかり「w」を付けられるような言葉になってしまってますが、ライフ(人生)の問題をハック(解決する)という本質に立ち返って解説されています。
冒頭の受信箱を空にする(Inbox Zero)など、僕のタスク管理の原点はGTD(Getting Things Done)というタスク管理術。「タスクを全部頭の外に出してスッキリする」というのはここから。ただ、本家GTDほどちゃんと厳密に管理できなくて、今はかなり適当になってますが……。
どさくさに紛れて自著の宣伝です……! まもなく確定申告の季節。なんとなくわかんないままでいるお金のことを、昔話でたとえたコントで説明します。浦島太郎が竜宮城から帰ったら、固定資産税の滞納で家が差し押さえられていたりします。
4000字も書いてしまった……!(つまり4時間かかりました)。長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。
これはもう僕のやり方であり絶対ではないので、「あっこれいいかも」というところがありましたら幸いです。2025年も締切を守れるよう頑張ります……!
最後に、ここまで書いたことを踏まえて今後のことを。
これから考えないといけないこと
長々とタスク管理について書いてきましたが、これはノウハウを伝えるというより、「今やっていることを書き残しておこう」という記録の意味が大きいです。
ここから先は
¥ 300
この記事が参加している募集
スキを押すと「今日のラッキー路線図」で表示されます。