2020年4月10日、大林宣彦氏が亡くなられた。
その追悼番組として、同4月16日にNHK BS1で大林氏(ご本人は「映画作家」と名のっているため、あえて「監督」とは書かない)が出演された『最後の講義』が再放送された(初回放送は2018年3月とのこと)。
それを見て、ふと、内田樹著『生きづらさについて考える』(毎日新聞出版)に「小津安二郎の写真から」という寄稿が所収されていたのを思い出した(初出 小津安二郎と兵隊(『小津安二郎 大全』松浦莞二・宮本明子編著 朝日新聞出版 2019年))。
『最後の講義』という番組で大林氏は、内田氏と同じ映画の同じシーンを持ち出しており、それが内田氏の疑問への回答となっている。
(2020年5月5日配信の『東洋経済オンライン』に「大林宣彦が小津安二郎に見ていた映画人の凄み」という、この番組を書籍化した『最後の講義 完全版 大林宣彦』(主婦の友社)からの抜粋記事が掲載されていたので、今回はそれを引用)
つまり、小津監督は「戦時中そのものへの言及」ではなく「戦後の日本人の在り様への批判」をしているのである。
そして、小津監督のメッセージは、21世紀になってなお、我々への強烈な問いかけになっている。
(2020/03/02 改訂)