舞台『首切り王子と愚かな女』
「言葉」とはとてもやっかいな物で人間はどれだけそれに翻弄される生き物なのかと、舞台『首切り王子と愚かな女』(蓬莱竜太作・演出。以下、本作)を観ながら、つくづく思った。
本作は井上芳雄主演ではあるがミュージカルではなく、「セリフ劇」、いや「言葉の芝居」である。
「ミュージカル界の貴公子」井上演じる主人公の王子・トルは、彼自身のイメージとは真逆の、母親である女王に命ぜられるまま国民の首を切る(切らせる)ことで「首切り王子」と恐れられている、残虐な男である。
井上の役柄からも推