絶対におかしいのに、おかしいと思うことが間違っているような気がした(人の心は弱いという話)
人の心は弱い。
本当にすぐに折れたり、つぶれたり、異様な状態になってしまう。
人の心は、通常、人が考えているよりも、ずっと弱くて、危なげだ。
儚げだ。
というか人だけじゃなく、多分、動物の心だって弱い。
心ってなんなんだろう。
心臓、というイメージもあるけど、この文では体に指令を出す機関、脳として話す。
心が弱い。
つまり、脳が弱いということになる。
考えてみれば当たり前だ。
俺は脳の専門家ではないけど、脳というのはとても複雑でデリケートな構造をしていて、
まだ解明されていないことも多く、当然のことながら、物理的な衝撃に弱い、くらいのことはわかる。
脳内には微弱な電流が流れていて、様々な作用が働いて、複雑な回路を形成している。
そうして体に指令を送ったり、体の調子を整えたり、表情を作ったり、条件反射を作ったりする。
総合的な動きは感情として発出し、思考として行為を生み出す。
すなわち、心だ。
微弱な電流、って言ってる時点で、もう結構弱そうだよね。
実際、弱い。
以下は実体験。
常々、自分は心の強い人間だと思って生きてきた。
わけじゃないけど、少なくともどうしようもなく悩んだり、ふさぎ込んだりすることはなかった。
うつ病とか心の病気は、対岸の火事だった。
30になって就いたとあるIT系の仕事で、毎日のように叱責された。
小さなコミュニティでもあったからか、考えの根本から変えることを強要された。
病んだわけじゃない。
日常生活は普通に送れていた。
超絶ブラックというわけでもなかった。
でも、自分のそれまでの心が機能しなくなっているのを感じていた。
今までよしとしてきたことが否定され、自分を信じることができなくなっていた。
楽しいと思えていたことが楽しいと思えなくなっていた。
絶対におかしいのに、おかしいと思うことが間違っているような気がした。
自己肯定感は高かったはずなのに、自分はダメな人間だと思うようになった。
微弱な電流に、歪みが生じてきていた。
人との関わりで、継続的なストレスで、度重なる叱責で、心が壊れてきていた。
毎日が楽しくなかった。
仕事を辞めたいというのは毎日考え続けていたが、今思えば、その感情こそ宝だった。
その感情こそ正常な脳の働きだった。
最後に残された希望だった。
結局、辞めさせずに縛り付けるタイプのブラックではなくて、むしろ強制的にクビにするタイプのブラックだったから、戦力外通告という形で辞めることになった。
それから、また(それなりの時間は要したが)本来の自分を無事取り戻すことができた。
あそこで辞めさせられたのは、本当に不幸中の幸いだった。
危なかった。
人の心は弱い、とはっきり思える体験だったし、何人もその危うさを免れないとも思った。
テレビやメディアに出ているめちゃくちゃ豪胆に見えるあの人だって、決して例外じゃない。
俺はあのままあの職場にいたら、どうなっていたことか。
どんな人だって、心を壊してしまう危険がある。
たやすく、とは言わない。
でも、十分にあり得る、ということだけは心に留めておくべきだ。
例外なんて本当にないからね。
そして、人は普通、自分のことだけで精一杯で、
家族でもなければ、人の心の異変に気付くことなんてとてもじゃないけどできない。
だから、まずは自分を守ろう。
自分の心は弱いと知ろう。
あなたの心は弱いと知ろう。
おかしいな、と思ったら、それ勘違いじゃないです。
よくない方向に進んでる、と思ったら、それ勘違いじゃないです。
今、大丈夫じゃないかも? と自覚すれば、問題はきっと解決へ向かう。
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