もしも、多人数RPGゲームの世界をリアル世界にもってきたら?
6歳から14歳の25名の冒険者が広場に集結した。
今日はラスボス討伐に向けた攻略会議の日だ。
リーダーから、ミッションの説明がある。
今回の敵は、強敵だ。
並居る先輩冒険者の誰も攻略できていないらしい。
しかも、敵は1匹ではない。
取り巻きが多いのだ。
さて、どこから手を付けたものか。
すでに、戦意を喪失している者もいる。
なんとか、攻略の糸口を見出そうと、頭をひねるものもいる。
リーダーが言う。
「どんな敵にだって、弱点はある。
攻撃できるポイントはたくさんあるかもしれないが、俺たちの力を
攻撃すべき1点に絞り込もう!」
話し合いの結果、意見は大きく2つに分かれたが、
まずは、一番多くの冒険者が、ここを攻めればよいのではないか?
と考えた攻略法を、詳しく検討することにした。
どうやら攻略法を見つけ出すためのうまい方法があるらしい。
一方の立場、他方の立場が、何を欲しているのか、その背景には
どんな要望があるのかを考えるのだ。
まともに力でぶつかっていって、勝てるような相手ではない。
これまでに試してきた方法を繰り返すだけでも、勝てるような相手でもない。
だが、このようにして、相手を分析すると、突破口が見えてくるのだ。
難敵の姿は、これで明らかになったのか?
この問いに対する、唯一の答えがあるわけではない。
あるのは、様々な考えだけだ。
この考えが本当にベストなのだろうか?
誰もが不安になる。
すると、リーダーが言う。
「魔法の言葉がある。この言葉を使いながら、考えを声に出して
読んでみるんだ。そうすると、筋の良い考えと、そうでなない
考えを見分けることができるんだ」
こうやって、ラスボス攻略の大方針が決まった。
1時間を超える、長い作戦会議。
戦いはこれからなのだが、疲れもみえる。
ここで休憩をとって、体力を全回復しておこう。
しばしの休憩のあと、最終確認に入る。
本当にこの作戦で、うまくいくだろうか?
何か、望まないことが起こる可能性はないだろうか?
こんな議論を通して、さらに作戦が精緻なものになった。
次は模擬戦だ。
あらかじめ練った攻略作戦の順番にそって、次々と
攻撃を仕掛けていく。
始めてにしては、上々の出来だ。
集まった冒険者たちも、これならば行けると士気があがる。
「ラスボスの部屋に、最初に突入したいやつはいるか?」
すると、7、8人がすぐに手をあげた。
頼もしい限りだ。
さて、こんなファンタジーRPGのマンガか何かに出てきそうな話だが、
実は、リアルの話である。
唯一の答えがない問題について考え、
暗記が武器にならないAI時代を生きる力を育む
「子どもイノベーター」塾のとりくみである。
冒険者:小中学生
ラスボス:オーバーツーリズムによる京都のごみ問題
相手の分析:対立解消ツール「クラウド」を使った問題構造の分析
攻撃すべき1点:両立したい要望
ラスボス攻略の大方針:ジレンマの解消策
望まないことが起こる可能性:副作用解消ツール「ネガティブブランチ」
模擬戦:プレゼンのロールプレイ
攻略作戦の順番:抵抗の階層
ラスボスの部屋:京都市長の部屋
みんなの知恵を集めて、社会の未解決の難題という「ラスボス」に挑む
この子ども達の様子は、2024年8月7日にKBS京都テレビ「きょうとDays」で紹介されました。
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