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シニアになって働く意味を考える② ~自分の居場所が分からなくなる~ (改題・内容変更なし)

定年前後のシニアに「働く意味」についてインタビューした記事です。
一般的に、働く意味はおおざっぱに以下の2つにあると言われます。
1)自分の好きな仕事、やりがいのある仕事、社会的使命感のある仕事のために働く
2)家族のため、趣味や自分の余暇を充実させるために働く
ところが実際にシニアの方々にお話を聞くと、どうもそんな単純なものではないようです。そこで、シニア一人一人のインタビューを積み重ねて、「働く意味」のスペクトラムを描けたらいいかなぁって思っています。どんな平凡な人生にもドラマがあります。


関西地方工場から首都圏本社の設計部門へ、自分の居場所が分からなくなる

大阪府堺市出身のMさんは、大学卒後の1986年に半導体のエンジニアとして、大手エレクトロニクスメーカーの関西地方工場に就職。そこで実績を積み上げ1988年から1989年と2007年に本社設計部門へ2度の出向を経験する。元々、東京のような都会は好きではなかったが、期限付き出向だったことから、自身にいい経験になること、家族も賛成してくれたことで、奥さんとお子さんを伴った引越しだったそうです。
一度目の出向時は、都心の人の多さと街の急速な発展を目の当りにし、自分の居場所が分からなくなり、本社での仕事や都会暮らしに慣れることで終わっってしまう。だが、二度目は自身の仕事に対して深く広く見識も広がり、家族の生活についても考える余裕ができる。

リーマンショックと二度の出向期限終了時期が重なり岐路に立つ

この二度目の出向期限が近づいている時に、あのリーマンショックが起こる。安泰であると思われた大手企業も消滅することを、ここ首都圏で実感したという。このまま関西へ戻り本社の指揮命令で今の仕事を続けるか、ここで得た経験や知識を活かし、自分にとってもっとやりがいが得られる場所を探すか、岐路に立つことになる。
幸いにもMさんのスキルや経験を、首都圏地方都市にあるメーカーが高く評価してくれ、その会社に招き入れられる。会社側の期待通り、Mさんはめきめき実力を発揮し、開発部門を率いる役職にまで抜擢されていく。

重責を任され仕事はリア充だが、超多忙で定年後のことを考える暇もなく59歳に

仕事にやりがいを感じまさしくリア充で働くMさんだがなにせ忙しすぎる。成果が出ればさらに忙しくなるという正か負か分からないスパイラスにジレンマを感じるようになったら59歳になっていた。
幸いにもMさんの勤める会社は最近65歳定年制度を導入。当面、Mさんの定年問題は先送りとなる。

この会社の粋な65歳定年制度とは?

この65歳定年制度には会社にも社員にとっても粋な特徴がある。60歳から65歳まではこれまでと同じ仕事を継続しつつ、週休三日となりその分減給となる。つまり本人の時給換算給料は同じ。会社側も経費を減らしてシニアに働いてもらえる。この制度、Mさんとって最適ではないかという気がする。

定年後を考えられる良い機会が与えられたかも

Mさんに65歳定年の後のことを聞いてみると、「どこかで働き続けると思うが健康次第、健康のために働く、経済的余裕があったら働いていない、後輩のためになにかできることがあったらいい」など漠然とした答えが続く。超多忙な会社員生活を送ってきたMさんには無理のないことだと思う。ただ、週休三日となることで時間的な余裕も生まれ、65歳までの5年間の離陸時間があることはありがたいとおっしゃっています。

シニアがやりがい・働きがい持って働き続けられる会社とは?

60歳で定年し65歳まで延長継続雇用、定年給料激減、役職から平社員へ降格という制度が多い中、このMさんの会社の65歳定年制度は、シニア社員にとって大変良い制度のひとつではないでしょうか。

後記:現役シニアの働く意味を考えるうえで、「チャンスや転機を自分の仕事人生に活かす勇気や行動」は、大切なキーワードであると痛感しました。「縁」に気づかず通り過ぎて行かないように、自分なりの感度を上げることが重要なのかもしれません。
(2023.02.12投稿)
(2023.04.01改題、リード文変更、内容変更なし)

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