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「そうなんですね」と「そうなんですよ」の違い
先日、組織の悩み相談を受けました。
これは、私たちにとっては営業の一環でもありますが、今回は相手が意思決定権のない管理職の方。
組織の現状を聞きながら、私はプロとして「こういうことが起きてるんじゃないですかね」「きっとこういうことが原因ですよ」と経験に基づいた指摘をしていきました。
すると、リアクションが返ってきます。もし「そうなんですよ!」と共感たっぷりに返ってくれば、この営業は大体成功します。相手が納得している、解決に向けて動こうとしている証拠です。
しかし、今回の相手は「そうなんですね」と言いました。
この言葉、同意しているようでいて、実は全然同意していないんです。
「そうなんですね」の魔力
私の研修でも「そうなんですね」をよく取り上げます。
例えば、誰かが同僚や先輩、上司の悪口を言いながら同意を求めてきたとします。そのとき、「そうなんですね」と返すと、一見相手に寄り添っているようで、実際は深入りしていない。このフレーズは同意も否定もせず、ニュートラルな立場を保つ便利な返答です。そして、そこから「それは直接本人に言ったほうがいいですよ」と、相手に一歩踏み出すよう促すのが本当の優しさです。
ただ、これが営業の場で使われると厄介です。今回の管理職の方の「そうなんですね」は、私の指摘が図星であるにもかかわらず、それを真正面から受け止める覚悟がない表れでした。問題があることはわかっている。しかし、それを自分事として受け取れていないのです。
リーダーが変わらなければ、組織は変わらない
このような状況では、まずリーダー自身が自分の課題に向き合う必要があります。「できていないこと」を認める。そして、その現実を受け入れる覚悟がなければ、組織全体が不健康なままです。
今回の「そうなんですね」から見えたのは、心の中の葛藤や抵抗感。
その影響で組織全体が前に進めなくなっています。この「受け止める力」こそ、すべてのスタート地点なのです。
まとめ
「そうなんですよ」と「そうなんですね」。この2つの言葉に込められたニュアンスの違いに気づくことは、ビジネスでも、人間関係でも、そして組織改革でも大きな意味を持ちます。どちらを選ぶかで、相手の印象も、自分の未来も変わってくる。だからこそ、どちらの言葉を使うべきか、しっかり考えてみてはいかがでしょうか。
このブログが少しでも「そうなんですよ!」と思っていただけたなら嬉しいです!