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かわいい父と激しい母と私の介護日記(10)

家に帰れない

あんなに帰りたがって、やっと退院したのに、父は家の前で1歩も動けなくなり、家に入る事なく再び入院した。

自分が旅行に行っていたのを棚にあげて、私は母を攻めてしまう。
「病院側から歩けなくなったとか、事前に言われなかったの?」
「お母さんの運転が荒いから、車に酔っちゃったんじゃない?」等々。
父は車に酔いやすく、母は性格と同じで運転が激しいのだ。

母いわく、病院側からは歩行の事は特に言われず、運転だって荒くない!と主張。
後日これは高齢者に、たまにおこる現象だと、近所の方に聞いた。

とにかく、2週間前は自分で歩いていた父が、いくら高齢者入院あるあるだとしても、歩けないなんて、絶対信じられない。
早く退院しないと、本当に歩けなくなってボケちゃう!!旅行に行かなければ良かった。
後悔と罪悪感で退院を焦るが、3日たっても病院からなんの連絡もない。

「治療することがないから、3日くらいで退院って言ってなかった?」と母に訪ねると
「そうだよね。病院に電話してみよう。」

病院に連絡すると、担当医と面談をと言われた。私は仕事を抜けて、母と病院で待ち合わせて面談に向かった。退院に向けての話し合いのつもりで。

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