かわいい父と激しい母と私の介護日記(27)
母の転倒でわかったこと
日曜日のある日。自分の用事をすませて昼過ぎに、父の様子を見に行く。
すると母が、「今日午前中に、畑で転んじゃって、右手を打ったみたい。」
と腕をさすっている。
「えっ!大丈夫?痛いの?」と私。
「痛いけど、腕も指も動くから骨は大丈夫だし、そのうち治るよ。」と母。
本当かな?なんだか怪しい。
母はとても我慢強い。弱音を吐くのが大嫌いなのだ。
「病院行かなくて大丈夫?」
「大丈夫!!」
夕方、もう一度様子を見に行く。
「どう?治った?」
「ズキズキする。痛みが強くなってきた。」と、母が珍しく辛そうな顔だ。
「病院行こう。日曜日でやってるところあるかな?」
幸い近くの整形外科がやっていた。
「お父さんどうしよう?」と母。
「2時間くらい、大丈夫だよ。運転出来ないでしょ?」と私が言うと
「あぁ神様、どうしてこんな事になるの?怪我してる場合じゃないのに。助けて下さい。」と母は泣きそうに言った。
こんなに、父の介護にプレッシャーがかかっていたのだ。この時、初めてわかった。私も介護しているつもりだったが、日中ほとんど仕事でいないし、自分のウチの家事もある。母の負担とプレッシャーは80歳を過ぎた人には、重すぎる。
私、仕事減らして母の負担をなんとかしなきゃ。初めて気づいた。
父に「お母さんが、転んで腕を怪我しちゃったから、病院に一緒に行ってくるね。」と正直に話す。
「大丈夫だよ。寝てるから。」と父は、意外と落ち着いて言ってくれた。
母を連れて病院へ。レントゲンを撮ったりした結果。
先生が「腱しょう炎です。」
「えっ?転んでから痛くなったのに?」
母が聞き返す。
「打ち身だと、時間がたって痛くなる事はあまりないので。偶然転んだことと痛みが出たのが、重なったのかな。」
とりあえず痛み止めの服薬と、手首を固定するサポーター、湿布薬がでた。
慌てて家に帰ると、父はぐーぐー寝ていた。
数日は痛みが続いたが、母は回復した。
「先生はああ言ったけど、打ち身だよ。だって、後から痛くなることあるでしょ。」と相変わらずの強気発言。
でも、違うんだ。母は自分が倒れたら父をどうしよう、というプレッシャーと毎日戦っている。今の私は戦力外で頼りにならない。なんとかしなきゃ。
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