かわいい父と激しい母と私の介護日記(31)
発熱の後遺症
今後の方向性が決まって、車イスに乗れるよう、立ち上がる練習を始めることになった父。その直後、久しぶりに発熱した。
幸い熱はすぐに下がったが、1日中眠っている。食事を摂らないと体が弱ってしまうので、無理矢理起こして食べさせる。
三口くらいで、「もう、いいよ。マズイっ!」と怒る。かわいかった父が、ぶりぶりと怒ってばかりいる。全然かわいくない。
特に母には甘えて、全然食べない。
私が、「ご飯食べないと、車イス乗れないよっ!」と怒ると仕方なく少し食べる。
昼間眠っているからか、夜は何度も起きて「足が痛いから揉んで。」と母を起こすらしく、母も眠れない。
「パパ、ママが寝れないから、夜は少しがまんして。」と言うと、「悪いと思ってがまんしてるけど、痛くて寝れないのっ。」と泣きそうな父。
やっぱりかわいいので、もう何も言えない。
訪問のドクターも、なぜ父が覚醒しないのか、わからないと言う。
まるで父は、生きるのを拒否しているみたいだ。大好きな野球も、水戸黄門も見ない。話しかけても、返事が返ってこない。しつこく話しかけると、「うるさいなぁ!」と怒る。
とうとう食事をほとんど食べないので、点滴を入れることになってしまった。
2日おきに、10時に点滴を取り替えるという作業が母に増えた。
また、咳が出てタンが出せなくなったので、訪問看護がたん吸引の機械を持ってきてくれた。母は、たん吸引まで出来るようになった。
「すごい、看護師になれるよ。」と私が本気で称賛すると、「80のばあさんに、何言ってんの。」と笑った。
点滴のせいかお通じがゆるくなり、1日に2回も当たり前。オムツ交換も大変になっている。日中の介護は母しかいない。そう、80の母も限界だ。
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